実務の手順 ・ 約6分

経理業務マニュアルの作り方

完璧を目指すと終わりません。役に立つのは年間カレンダーとアクセス権の一覧の2つだけ。作り方は「今月やったことを1行メモする」を12か月続けるだけです。網羅的な操作手順は後回しで構いません。

まず結論

完璧なマニュアルより、「今月やったこと」の記録から始めます

経理マニュアルが作られない理由は、網羅的に書こうとして終わらないからです。実務で役に立つのは「毎月・毎年、いつ何をするか」のカレンダー「その作業の手順」の2つだけ。作り方は簡単で、今月やった作業を、やりながらメモしていく——12か月続ければ完成します。

最低限あればいいもの

資料内容優先度
年間カレンダー毎月・毎年の期限と作業(下記)最優先
アクセス権の一覧どのシステムに誰が入れるか、窓口はどこか最優先
定期支払の一覧毎月・毎年の引き落とし
取引先の一覧締日・支払日・振込名義
月次の作業手順締めの流れ
科目の使い方迷いやすい支出の処理ルール
各作業の操作手順会計ソフトの画面操作など低(後回しでよい)
上2つがあれば、担当者が突然いなくなっても月次は止まりません。 逆に、操作手順を詳しく書いてもアクセス権が分からなければ何もできません。優先順位を間違えないでください(経理が1人しかいない会社が休職・退職に備える方法)。

年間カレンダーの中身

頻度項目
毎月10日源泉所得税の納付(納期の特例なら7/10・1/20)
毎月末社会保険料の納付、請求書の発行、支払
毎月(締め後)月次決算(月次決算を5営業日で締める手順
3月健康保険料率の改定
6〜7月算定基礎届、労働保険の年度更新(算定基礎届の時期にやること
決算3か月前着地見込みと打ち手の決定(決算3か月前にやること
決算日棚卸、現金実査(期末の棚卸の進め方
決算日+2か月申告・納付
期首+3か月以内役員報酬の決定(新年度に切り替わるときの経理の準備
該当月中間申告(中間申告・予定納税の時期と金額
10〜12月年末調整(年末調整を終わらせる手順
翌1月31日法定調書、給与支払報告書、償却資産申告

これを1枚の紙にすれば、それだけで引き継ぎ資料になります。

アクセス権の一覧に書くこと

  • システム名(会計ソフト、ネットバンキング、e-Tax、カード会社、給与ソフト)
  • 契約者名義(法人か個人か
  • 登録メールアドレス
  • 管理者は誰か
  • 問い合わせ窓口(電話番号・URL)

パスワードは書きません。「どこに連絡すれば再発行できるか」が分かれば十分です。パスワード管理は別の仕組み(パスワード管理ツールなど)で行ってください。

作り方:やりながら書く

  1. 今月やった作業を、終わるたびに1行メモする — 「5日:源泉所得税を納付(e-Taxから)」
  2. 迷ったことも書く — 「◯◯社の請求は税抜表示なので注意」
  3. 調べたことを書く — 二度目に調べなくて済みます
  4. 12か月続ける — 年に1回の作業も1周すれば全部出ます
  5. 翌年、そのメモを見ながら作業して修正する — これで実用的なマニュアルになります

最初から完璧に書こうとすると、絶対に終わりません。「来月の自分への申し送り」くらいの気持ちで書くのがコツです。

書式は問いません

  • Excelでも、テキストファイルでも、共有ドキュメントでも構いません
  • 1か所にまとまっていることが重要
  • 個人のPCではなく、共有の場所に置く
  • 画面のスクリーンショットを貼ると、操作手順は一気に分かりやすくなります

外注していても必要です

記帳を外に出していても、社内に残る業務(請求、入金確認、支払、資料の送付)があります。この部分の手順は社内で残す必要があります。

ただし、外注すると「処理の型」が社外にも残るという利点があります。科目の使い方、月次の締め方は外注先が保持しているため、社内のマニュアルは薄くて済みます。これも属人化を避ける方法の一つです(経理が1人しかいない会社が休職・退職に備える方法)。

無料の経理引き継ぎチェックリストは、優先度A・B・Cで並べてあります。Aの8項目を埋めるだけでも、最低限の引き継ぎ資料になります。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

経理マニュアルには何を書けばいいですか?

優先順位があります。最優先は年間カレンダー(毎月・毎年の期限と作業)とアクセス権の一覧(どのシステムに誰が入れるか、窓口はどこか)。次に定期支払の一覧と取引先の締日・支払日。会計ソフトの操作手順は後回しで構いません。

マニュアルを作る時間がありません。

今月やった作業を、終わるたびに1行メモしてください。「5日:源泉所得税を納付(e-Taxから)」程度で十分です。迷ったことや調べたことも書いておき、12か月続ければ年1回の作業も全部出ます。最初から完璧に書こうとすると絶対に終わりません。

アクセス権の一覧にパスワードも書きますか?

書きません。システム名、契約者名義(法人か個人か)、登録メールアドレス、管理者、問い合わせ窓口があれば十分です。「どこに連絡すれば再発行できるか」が分かれば復旧できます。パスワードは別の仕組みで管理してください。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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