実務の手順 ・ 約7分
決算3か月前にやること
決算が終わってからできることはほとんどありません。3か月前に「記帳を最新にする→着地見込みを出す→期末までに実行することを決める」の順で進めれば慌てずに済みます。記帳が遅れているとこの判断そのものができません。
まず結論
決算の3か月前が、動ける最後のタイミングです
決算が終わってからできることは、ほとんどありません。利益の見通しを立て、打てる手を実行できるのは期末までです。3か月前に①記帳を最新にする ②着地見込みを出す ③期末までに実行することを決める——この順番で進めれば、慌てずに済みます。記帳が数か月遅れていると、この判断そのものができません。
3か月前:まず記帳を最新にする
ここが出発点です。数字が出ていなければ、何も判断できません。
- 直近まで記帳が終わっているか。遅れているなら、まずそこを埋める。
- 通帳残高と会計ソフトの残高が一致しているか。
- 売掛金・買掛金の残高が実態と合っているか(消込漏れがないか)。
- 仮払金・仮受金が残っていないか。残っていれば内容を確定させる。
- 期首の残高が前期の決算書と一致しているか。
記帳が3か月以上遅れている場合は、着地見込みを出す以前の問題です。まずここを取り戻すことに集中してください。遅れたまま期末を迎えると、決算作業が集中して費用も膨らみます。
2〜3か月前:着地見込みを出す
現時点の数字に、期末までの見込みを足して着地を予測します。
| 確認するもの | 見るポイント |
|---|---|
| 売上の見込み | 受注残・継続契約から、期末までの売上を積む |
| 仕入・外注の見込み | 売上に対応する原価。未計上の請求がないか |
| 固定費 | 人件費・家賃・リースは月額×残り月数で計算できる |
| 減価償却費 | 今期取得した資産を含めて年間の償却額を確認 |
| 特殊な取引 | 資産の売却、補助金の入金、保険金など。利益に大きく影響する |
ここで利益の着地がプラスかマイナスか、いくらかが見えます。この数字がないまま期末を迎えるのが、いちばん避けたい状態です。
1〜2か月前:期末までに実行することを決める
着地が見えたら、期末までに実行できることを検討します。いずれも「期末までに実行が完了していること」が要件です。契約だけ、発注だけでは間に合いません。
- 設備投資 — 取得して事業の用に供した日が期内であること。納品されただけでは足りない場合があります。少額減価償却資産の特例(30万円未満)は年間300万円まで。
- 修繕 — 予定している修繕を期内に実施するか。ただし資本的支出になる部分は資産計上です。
- 決算賞与 — 期末までに支給額を各人に通知し、翌期1か月以内に支給するなどの要件を満たせば未払計上できます。
- 不要な在庫・固定資産 — 廃棄するなら期内に実施し、証拠を残します。
- 貸倒れ — 要件を満たすものがあれば期内に処理します。
- 役員報酬 — 期中の変更は原則できません。次期の設定を、この時点から考え始めます。
「税金を減らすため」だけの支出は、手元の現金を減らします。 100万円使って税金が30万円減っても、現金は70万円減ります。本来必要な支出を期内に前倒しするかどうか、という判断で考えてください。
期末月:やっておくこと
- 実地棚卸 — 在庫がある業種は必須です。棚卸表(日付・品名・数量・単価)を残します。
- 固定資産の現物確認 — 台帳にあるが現物がないもの(除却済み)を確認します。
- 未払・未収の洗い出し — 期末までに発生した費用で、請求が翌期になるものを未払計上します。
- 現金の実査 — 帳簿残高と合わせます。
- 翌期の役員報酬 — 定時株主総会での改定に向けて金額を検討します(期首から3か月以内)。
決算後:申告期限
法人税の申告・納付は、原則として決算日の翌日から2か月以内です。3月決算なら5月31日。消費税も同じ期限です。
申告期限の延長特例を受けている場合でも、納付は2か月以内が原則で、遅れると利子税がかかります。
記帳が追いついていないと、この全部ができません
着地見込みも、期末までの判断も、出発点は「いまの数字」です。記帳が数か月遅れていると、決算前に打てる手がないまま期末を迎えることになります。
記帳を毎月確実に回す体制が作れていない場合は、その部分を外に出すことも選択肢です。仕訳件数から費用を試算すると、いまの状態で外注した場合の金額が分かります。
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