判断の材料 ・ 約6分

経理を1人にしない体制の作り方

人を増やすのではなく、その人の頭の外に情報を出します。アクセス権を会社が持つ、手順と期限を書き出す、処理の型を社外にも置く——記帳を外に出すだけで、人を増やさずに属人化が解けます。

まず結論

人を増やすのではなく、「その人の頭の外」に情報を出します

経理の属人化は、担当者が優秀であるほど進みます。全部その人の中で完結してしまうからです。解消の方法は人を増やすことではなく、①アクセス権を会社が持つ ②手順と期限を書き出す ③処理の型を社外にも置く——この3つ。特に③は記帳を外に出すだけで実現でき、人を増やさずに属人化が解けます

属人化しているかの確認

質問「いいえ」なら属人化
その人が1週間休んでも、支払と給与は回りますか回らないなら危険
会計ソフトに、他の人も管理者として入れますか入れないなら危険
今月の期限が何か、他の人も知っていますか知らないなら危険
定期的な引き落としの一覧はありますか無いなら危険
残高の照合は毎月行われていますかしていないなら、誤りが見えない
その人以外が、試算表を見て説明できますかできないなら、数字が独占されている
属人化は担当者の責任ではありません。 1人しかいなければ、その人の中に情報が集まるのは自然なことです。責める話ではなく、会社として仕組みを作るかどうかの問題です。担当者にとっても、休みやすくなる話です。

解消策1:アクセス権を会社が持つ

最も即効性があり、コストもかかりません。

  • 会計ソフトの管理者に、代表者または役員を追加する
  • 契約者のメールアドレスを、個人から法人の共有アドレスに変更する
  • ネットバンキングの管理者権限を会社が持つ
  • e-Taxの利用者識別番号を会社の管理下に置く
  • アクセス権の一覧を紙1枚で作る(パスワードは書かず、契約者名と窓口だけ)

詳しくは経理が1人しかいない会社が休職・退職に備える方法に。

解消策2:手順と期限を書き出す

網羅的なマニュアルは要りません。年間カレンダーと定期支払の一覧があれば、当面は回ります。

  • 毎月・毎年の期限(源泉所得税、社会保険料、申告、年末調整…)
  • 定期的な引き落とし(家賃、リース、保険、サブスク、借入返済)
  • 取引先ごとの締日と支払日

作り方は経理業務マニュアルの作り方にまとめています。「今月やったことを1行メモする」を12か月続ければ完成します。

解消策3:処理の型を社外にも置く

これが最も本質的な解決です。記帳の入力を外に出すと、次のことが起きます。

起きること効果
科目の使い方が社外にも残る担当者が代わっても処理が変わらない
データが二重に存在する社内のPCが失われても復旧できる
月次で第三者の目が入る誤りが数年放置されない
締めの手順が外部の仕組みに乗る社内の人が変わっても止まらない
社内に残る業務が明確になる引き継ぐ範囲が小さくなる

人を増やさずに属人化が解けるのがこの方法の利点です。経理1名の実質コストは月およそ29万円ですが、記帳の外注は仕訳件数によってはるかに小さい金額で収まります(仕訳件数から試算)。

「担当者が1人でも回る」形

担当業務
社内(1人でも可)請求書の発行、入金確認、支払の実行、証憑を送る
外部仕訳の入力、月次資料の作成、残高照合、決算・申告
経営者試算表を見る、判断が必要な取引を決める

この形なら、社内の担当者が休んでも記帳と月次は止まりません。止まるのは請求と支払だけで、それは経営者でも代行できます。

今日からできること

  1. 会計ソフトの管理者に代表者を追加する — 5分で終わります
  2. 契約者のメールアドレスを法人のものに変える
  3. 定期的な引き落としを通帳から書き出す — 12か月分見れば全部出ます
  4. 今月の期限を紙に書いて共有の場所に貼る

この4つは今日中にでき、費用もかかりません。それだけで「その人がいないと何も分からない」状態は解消します。

無料の経理引き継ぎチェックリストは優先度A・B・Cで並べてあります。Aの8項目から埋めてください。突然辞められた場合の対処は経理担当者が辞めた直後の7日間にやること引き継ぎ資料が無いまま辞められたときの復旧手順にまとめています。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

経理の属人化はどうすれば解消できますか?

3つです。アクセス権を会社が持つ(会計ソフトの管理者に代表者を追加する、契約者メールを法人のものにする)、年間カレンダーと定期支払の一覧を書き出す、記帳の入力を外に出して処理の型を社外にも置く。人を増やす必要はありません。

外注すると属人化が解けるのはなぜですか?

科目の使い方・摘要の書き方・月次の締め方が担当者の頭の外に出るためです。データも二重に存在し、月次で第三者の目が入るため誤りが数年放置されることもありません。社内の担当者が休んでも記帳と月次は止まらなくなります。

今日からできることはありますか?

4つあります。会計ソフトの管理者に代表者を追加する(5分で終わります)、契約者のメールアドレスを法人のものに変える、定期的な引き落としを通帳12か月分から書き出す、今月の期限を紙に書いて共有の場所に貼る。費用はかかりません。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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