実務の手順 ・ 約6分

新年度に切り替わるときの経理の準備

期首から3か月以内にやることが3つ。役員報酬の決定、届出の確認、期首残高の照合です。役員報酬は3か月を過ぎるとその期は変更できず、届出のほとんどは前期のうちに出す必要があります。

まず結論

期首から3か月以内にやることが3つあります。期限を過ぎるとやり直せません

新年度に入ったら、まず①役員報酬の決定(期首から3か月以内) ②各種届出の確認(適用したい期の開始前日まで=実は前期のうち) ③期首残高が前期末と一致しているかの確認です。特に役員報酬は期首から3か月を過ぎると、その期は変更できません。日々の記帳より先に、この3つを片付けてください。

1. 役員報酬の決定(最優先)

項目内容
期限事業年度開始から3か月以内
手続き株主総会(または取締役会)の決議。議事録を残す
その後の変更原則できない。期中に増額した分は損金不算入
例外職制上の地位の変更、業績の著しい悪化による減額など、限られた場合のみ

決めるときは、会社の資金繰りと個人の税負担の両面から考えます。役員報酬を上げれば法人の利益は減りますが、個人の所得税・住民税・社会保険料が増えます。最適な水準は会社ごとに違うため、着地見込みを見ながら決めるのが本来の順序です(決算3か月前にやること)。

2. 届出の確認

ほとんどの届出は「適用したい期が始まる前日まで」です。つまり新年度に入ってからでは遅い。前期のうちに済ませておく必要があります。

届出期限
消費税の簡易課税制度選択適用したい課税期間の開始日の前日まで
消費税の課税事業者選択同上
申告期限の延長の特例適用したい事業年度終了の日まで
棚卸資産の評価方法の変更適用したい事業年度開始の日の前日まで
減価償却方法の変更同上
源泉所得税の納期の特例随時(適用は翌月から)
新年度に入ってから「今期は簡易課税にしたい」と気づいても、もう選べません。 だからこそ、決算3か月前の時点で「来期どうするか」まで決めておく必要があります。期首にやるのは「出し忘れが無いかの最終確認」です。

3. 期首残高の確認

前期の決算が確定したら、当期の期首残高が前期末と一致しているかを確認します。

  • 会計ソフトの繰越処理を実行したか
  • 繰越後に前年度を修正していないか(修正したなら再繰越が必要)
  • 税理士が加えた決算整理仕訳が反映されているか
  • 貸借対照表の各科目が前期末と一致しているか

ここがずれたまま1年進むと、当期の決算書も間違った数字になります(決算書の数字が前期と繋がらないとき)。年度初めの定型作業に入れてください。

その他、期首に見直すこと

項目内容
消費税の課税区分免税→課税、簡易→本則に変わっていないか(消費税の課税事業者になるタイミング
中間申告の予定今期は該当するか。時期と金額を資金繰りに入れる(中間申告・予定納税の時期と金額
減価償却の予定今期の償却費を把握しておくと、着地見込みが立てやすい
年間の資金計画納税・賞与・設備投資の時期を入れる
勘定科目の整理使っていない科目、重複している科目を整理する好機
部門・プロジェクトの設定変更するなら期首から(複数拠点・複数事業の会計ソフト運用
契約の棚卸使っていないサブスク、更新時期の確認

4月に重なる実務(3月決算の場合)

3月決算の会社では、4月は次が同時に来ます。

  • 前期の決算作業(5月31日が申告期限)
  • 新年度の役員報酬の決定
  • 新入社員の入社手続き(社会保険・雇用保険・扶養控除等申告書)
  • 昇給に伴う月額変更届の準備
  • 通常の月次業務

決算と新年度の準備が重なるのが4月です。ここで記帳が止まると、決算にも新年度にも影響します。

この時期に体制を見直す

期首は、経理の体制を変えるのに最も適したタイミングです。

期中に変えると、前半と後半で処理が変わって比較しづらくなります。「来期からこうする」と決めたことを実行するのが期首です。費用の目安は仕訳件数から試算できます。年間の実務カレンダーは法人の決算スケジュールにまとめています。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

新年度に入ったら何から着手しますか?

役員報酬の決定です。事業年度開始から3か月以内に株主総会等で決議し、議事録を残します。この期限を過ぎるとその期は変更できず、期中に増額した分は損金不算入になります。日々の記帳より先に片付けてください。

消費税の簡易課税は新年度に入ってから選べますか?

選べません。適用したい課税期間の開始日の前日までに届出が必要です。棚卸資産の評価方法や減価償却方法の変更も同様で、ほとんどの届出は前期のうちに出しておく必要があります。期首にやるのは出し忘れが無いかの最終確認です。

期首にほかに確認すべきことはありますか?

期首残高が前期末と一致しているかです。会計ソフトの繰越処理を実行したか、繰越後に前年度を修正していないか(修正したなら再繰越が必要)、税理士が加えた決算整理仕訳が反映されているかを確認してください。ここがずれたまま1年進むと当期の決算書も狂います。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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