実務の手順 ・ 約6分

給与計算の月次フロー

計算そのものより前後の手続きで事故が起きます。控除の順番、年間のイベント、入退社の手続きと期限、そして誰に頼めるかの線引き(社会保険は社労士、年末調整の税額確定は税理士)を整理しました。

まず結論

給与計算そのものより、前後の「手続き」で事故が起きます

給与の計算は会計ソフト・給与ソフトが行います。実務で問題になるのは入退社の手続き、保険料率の改定、扶養の変更といった前後の処理です。特に社会保険の手続きは社会保険労務士の領域、年末調整の税額確定は税理士の領域で、同じ「給与まわり」でも担当できる人が変わります。

月次の流れ

時期やること
締日勤怠を締める(残業・欠勤・有給の集計)
締日〜支給日変動項目の反映(通勤手当の変更、扶養の異動、昇給)
計算総支給額→社会保険料→源泉所得税→住民税→差引支給額
支給日振込/給与明細の交付(交付は義務
支給日以降賃金台帳への記録
翌月10日源泉所得税の納付(納期の特例なら年2回)
翌月末社会保険料の納付

控除の順番

計算の順序が決まっています。順番を間違えると税額が変わります。

  1. 総支給額 — 基本給+各種手当+残業代
  2. 社会保険料を控除 — 健康保険・厚生年金・雇用保険
  3. 課税対象額を計算 — 総支給額 −(非課税の通勤手当)−(社会保険料)
  4. 源泉所得税を計算 — 課税対象額と扶養人数から源泉徴収税額表で求める
  5. 住民税を控除 — 特別徴収税額決定通知書の金額(計算不要)
  6. 差引支給額
通勤手当は「社会保険では報酬に含め、所得税では一定額まで非課税」です。 同じ手当でも扱いが違うため、給与ソフトの設定を誤ると両方がずれます(通勤手当)。

年間のイベント

時期やること担当領域
3月健康保険料率の改定(協会けんぽ)設定変更
4月新入社員の手続き/昇給の反映社労士(社保)
6月住民税の切り替え(新年度の税額)/賞与設定変更
7月10日算定基礎届の提出社労士
9月厚生年金保険料率の確認/算定の結果を反映設定変更
10〜12月年末調整税理士(税額確定)
12月賞与/年末調整の反映
翌1月31日法定調書・給与支払報告書税理士

料率の改定を反映し忘れると、1年分の徴収不足が発生します。3月・9月は設定を確認する月としてカレンダーに入れてください。

入退社の手続き

場面やること期限
入社健康保険・厚生年金の資格取得届5日以内
雇用保険の資格取得届翌月10日まで
扶養控除等申告書の回収最初の給与支払まで
前職の源泉徴収票の回収入社時(後回しにすると年末に困る)
退職資格喪失届5日以内
離職証明書(本人が希望する場合等)10日以内
源泉徴収票の交付退職後1か月以内
住民税の異動届翌月10日まで

社会保険の手続きは社会保険労務士の独占業務です(社会保険労務士法)。税理士でも代行できません(無資格者ができる経理業務・できない業務)。

誰に頼めるか

業務担当できる人
勤怠の集計・給与計算・明細の作成誰でも可
賃金台帳への記録誰でも可
振込データの作成誰でも可
年末調整の税額確定・源泉徴収票の作成税理士
社会保険・雇用保険の手続き社会保険労務士
就業規則の作成・届出社会保険労務士

「給与も社保も年末調整も全部やります」という案内を見たら、税理士と社労士が関与しているかを確認してください。

記帳との関係

  • 給与の支給時は給与手当/預り金+普通預金
  • 会社負担の社会保険料は法定福利費/未払費用
  • 預り金は納付時に消し込む(社会保険料・労働保険料
  • 預り金の残高が正しいかを月次で確認すると、納付漏れが見つかります

給与計算そのものを外に出すこともできますが、まず記帳の入力だけを外に出して社内の工数を空けるという順序が現実的です。仕訳件数から費用を試算できます。年末調整の手順は経理担当者がいなくても年末調整を終わらせる手順に。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

給与計算の控除はどの順番で行いますか?

総支給額から社会保険料を控除し、そこから非課税の通勤手当を除いた課税対象額に対して源泉所得税を計算します。住民税は通知された金額をそのまま控除します。順番を間違えると税額が変わります。

給与計算は誰に頼めますか?

勤怠の集計・給与計算・明細の作成・振込データの作成は誰でもできます。ただし年末調整の税額確定と源泉徴収票の作成は税理士、社会保険・雇用保険の手続きと就業規則は社会保険労務士の独占業務です。「全部やります」という案内には、両方が関与しているか確認してください。

保険料率の改定を忘れるとどうなりますか?

1年分の徴収不足が発生します。協会けんぽの健康保険料率は3月に、厚生年金保険料率や算定の結果は9月に反映が必要です。この2つの月を「設定を確認する月」としてカレンダーに入れてください。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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