実務の手順 ・ 約6分

複数拠点・複数事業の会計ソフト運用(部門管理)

つまずく原因は目的を決めずに部門を切ることです。最大の実務課題は共通費の配賦で、最初は「配賦しない」から始めるのが続きます。外注時に伝えるべきことと、業種別の切り方も整理しました。

まず結論

先に決めるのは「何を知りたいか」です。設定はその後です

部門管理でつまずく原因は、目的を決めずに部門を切ってしまうことです。店舗別の採算を見たいのか、事業別の利益を出したいのか、案件ごとの原価を追いたいのか——知りたいことによって切り方が変わります。そして最大の実務課題は共通費をどう配賦するかで、ここを決めないと部門別の数字は使えません。

まず目的を決める

知りたいこと切り方
拠点ごとの採算拠点・店舗で切る店舗、支店、事業所
事業ごとの利益事業で切る受託と自社サービス、卸と小売
案件ごとの原価プロジェクトで切る工事、受託開発、イベント
顧客ごとの採算取引先で切る荷主別、得意先別
資産ごとの収支物件・車両で切る不動産の物件別、運送の車両別
2軸で見たい場合は「部門」と「プロジェクト」を併用します。 会計ソフトの多くは部門とは別にプロジェクト(セグメント・タグ)の機能を持っています。「店舗×商品カテゴリ」のように2軸で見たいなら、それぞれに割り当てます。1つの軸に無理やり詰め込むと破綻します。

共通費の配賦

ここが実務の山場です。本社の人件費、事務所家賃、借入利息、システム費用——どの部門にも直接紐づかない費用をどう分けるか。

配賦基準向いている費用
売上高比本社経費全般。最も簡便
人数比福利厚生費、総務関連
面積比家賃、水道光熱費
作業時間比労務費、案件別の原価
配賦しない(共通部門に残す)最も簡単。各部門の「貢献利益」を見るという考え方

最初は「配賦しない」から始めることを勧めます。直接費だけで部門別の粗利を出し、共通費は共通部門にまとめる。これでも「どの店が稼いでいるか」は十分に分かります。配賦を始めると、基準の議論に時間を取られ、運用が続かなくなりがちです。

設定の実務

  1. 部門コードの体系を決める — 後から増えることを想定して余白を持たせます(10, 20, 30…)
  2. 共通部門を作る — どこにも属さない費用の受け皿
  3. 入力時に部門を必須にする — 未指定を許すと、後から振り分ける作業が発生します
  4. 貸借対照表科目をどうするか決める — 現預金・借入金を部門で分けるかどうか。分けないほうが実務は楽です
  5. 月次で部門別の損益を見る — 見ないなら設定する意味がありません

よくある失敗

失敗結果
部門を細かく切りすぎる入力の負担が増え、続かなくなる
目的を決めずに切る出てきた数字を誰も使わない
配賦基準を毎年変える期間比較ができなくなる
未指定を許す「その他」が膨らんで分析にならない
貸借対照表まで全部門に分ける入力が極端に重くなる
設定したが見ていない手間だけが残る

外注するときの伝え方

部門管理がある場合、外注先に伝えるべきことは次の通りです。

  • 部門の一覧と、それぞれの意味
  • どの証憑がどの部門かを判別する方法(請求書に現場名が書いてある、カードを部門別に分けている、など)
  • 共通費の配賦基準(配賦する場合)
  • 迷ったときの扱い — 共通部門に入れるか、確認するか

判別方法が曖昧だと、外注先は毎回確認することになり、費用も時間も増えます。カードや口座を部門別に分けておく、請求書に部門を書いてもらう——入り口で分かれていれば、記帳は自動的に分かれます。

業種別の切り方

費用の目安は仕訳件数から試算できます。部門管理があると単価が上がることもあるため、見積り時に伝えてください(記帳代行の相場が事務所ごとに違う理由)。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

部門管理はどう設計すればいいですか?

先に「何を知りたいか」を決めてください。拠点ごとの採算なら店舗で、事業ごとの利益なら事業で、案件ごとの原価ならプロジェクトで切ります。2軸で見たい場合は部門とプロジェクト機能を併用します。1つの軸に詰め込むと破綻します。

共通費はどう配賦しますか?

最初は「配賦しない」から始めることを勧めます。直接費だけで部門別の粗利を出し、共通費は共通部門にまとめる方法です。これでもどの拠点が稼いでいるかは十分に分かります。配賦を始めると基準の議論に時間を取られ、運用が続かなくなりがちです。

外注先に部門管理を任せるとき何を伝えますか?

部門の一覧とそれぞれの意味、どの証憑がどの部門かを判別する方法、共通費の配賦基準、迷ったときの扱いです。判別方法が曖昧だと毎回確認が発生し費用も時間も増えます。カードや口座を部門別に分けておくと、記帳は自動的に分かれます。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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