Excel・手書きから会計ソフトに移行する手順
移行は期首から始めるのが原則です。必要なのは前期の決算書と科目の対応表だけで、過去の全データを入れ直す必要はありません。期首残高で間違えやすい科目と、期中に移行せざるを得ない場合の対処も示しました。
移行のタイミングは「期首」です。期中に切り替えると二度手間になります
Excelや手書きから会計ソフトへ移すとき、最も重要なのは期首(事業年度の開始日)から始めることです。期中に切り替えると、それまでの期間をどう扱うかで必ず混乱します。移行に必要なのは前期の決算書(期首残高の根拠)と科目の対応表の2つだけで、過去の全データを入れ直す必要はありません。
移行に必要なもの
| 必要なもの | 用途 |
|---|---|
| 前期の決算書(貸借対照表) | 期首残高の根拠。これが最重要 |
| 前期の申告書の控え | 繰越欠損金、減価償却の状況 |
| 固定資産の一覧 | 取得日・金額・耐用年数・未償却残高 |
| 科目の対応表 | いままで使っていた名称と、ソフトの標準科目の対応 |
| 取引先の一覧 | 売掛金・買掛金の相手先別残高 |
| 借入金の残高と返済予定 | 元本と利息の区分 |
手順
- ソフトを決める — クラウド型なら銀行・カード連携が使え、入力が大幅に減ります(会計ソフト別)。
- 契約は法人名義・法人のメールアドレスで — 個人名義にすると引き継げなくなります(会計ソフトのログイン情報が分からなくなったとき)。
- 期首残高を入力する — 前期の貸借対照表の数字をそのまま入れます。貸借が一致することを確認。
- 科目を整理する — Excelで使っていた独自の名称を、標準的な科目に寄せます。
- 銀行・カードを連携する — ここで入力の8割が消えることがあります。
- 固定資産を登録する — 取得日・金額・耐用年数・未償却残高。これを飛ばすと減価償却が計算できません。
- 期首の売掛金・買掛金を相手先別に入れる — 消込ができるようになります。
- 最初の1か月を入力し、残高を照合する — 通帳と一致すれば移行成功です。
期首残高で間違えやすい科目
| 科目 | 注意点 |
|---|---|
| 繰越利益剰余金 | ここがずれると全体がずれます。差額を押し込む場所にしない |
| 減価償却累計額 | 固定資産とセットで入れる |
| 預り金 | 源泉所得税、社会保険料の翌月納付分 |
| 未払法人税等 | 前期の確定税額のうち未納分 |
| 仮払消費税・仮受消費税 | 税抜経理の場合 |
| 事業主貸・事業主借 | 個人事業主の場合。期首はゼロにリセットされる |
期首がずれたまま進むと、当期の決算書も間違った数字になります。入力後に必ず前期の決算書と1科目ずつ突合してください(決算書の数字が前期と繋がらないとき)。
期中に移行せざるを得ない場合
やむを得ず期中に切り替えるなら、次のどちらかです。
- 期首まで遡って入力する — 手間はかかりますが、1年分の数字が1か所に揃います。件数が少ないならこちらを推奨。
- 切替日を期首とみなして残高を入れる — 期中の任意日の残高を「開始残高」として入力します。ただしその期の決算では、前半(Excel)と後半(ソフト)を合算する作業が必要になります。
移行と同時に外注を検討する価値があります
Excelや手書きで続けてきた会社は、入力そのものが負担になっていることがほとんどです。ソフトを入れれば速くはなりますが、入力する人は必要なままです(経理システムを入れるか外注するかの判断基準)。
移行のタイミングで入力ごと外に出せば、移行作業も外注先に任せられるため、二重に楽になります。期首残高の設定は専門知識が要る部分なので、ここだけでも任せる価値があります。
費用の目安は仕訳件数から試算できます。Excel・手書きから移行するもご覧ください。
この記事に関するよくある質問
Excelから会計ソフトに移行するとき、過去のデータも全部入力し直しますか?
必要ありません。期首の残高さえ正しく入れれば、そこから積み上げられます。過去のデータはExcelのまま保存しておけば帳簿の保存義務も満たせます。必要なのは前期の決算書(期首残高の根拠)と科目の対応表です。
移行はいつ始めるのがいいですか?
期首(事業年度の開始日)です。期中に切り替えると、それまでの期間をどう扱うかで必ず混乱し、決算時に前半(Excel)と後半(ソフト)を合算する作業が発生します。やむを得ず期中に移行する場合は、件数が少なければ期首まで遡って入力するほうが結果的に楽です。
期首残高で間違えやすい科目はありますか?
繰越利益剰余金です。ここがずれると全体がずれるため、差額を押し込む場所にしないでください。ほかに減価償却累計額(固定資産とセット)、預り金(源泉所得税・社会保険料の翌月納付分)、未払法人税等も漏れやすい項目です。入力後は前期の決算書と1科目ずつ突合してください。