実務の手順 ・ 約6分

賞与を出すときの経理処理と届出

役員賞与は事前確定届出給与の届出が無ければ全額損金不算入で、届出額と1円でも違えば否認されます。従業員賞与は源泉税の計算方法が月給と違い、賞与支払届は支給後5日以内です。決算賞与の3要件も整理しました。

まず結論

従業員賞与は費用、役員賞与は「届出が無ければ全額損金不算入」です

賞与の経理で最も影響が大きいのは役員賞与です。事前確定届出給与の届出をしていなければ全額が損金になりません。しかも届出額と実際の支給額が1円でも違うと、その全額が否認されます。従業員賞与は通常の費用ですが、社会保険料の計算方法が月給と違う点と、賞与支払届の提出を忘れないでください。

従業員賞与の処理

項目内容
科目賞与(または賞与手当)。製造業では労務費に含める場合も
源泉所得税前月の給与額と扶養人数から税率を求める(月給とは計算方法が違う)
社会保険料標準賞与額(1,000円未満切捨)に保険料率。上限あり
雇用保険料賞与額に料率を乗じる
賞与支払届支給日から5日以内に年金事務所へ提出
賞与の源泉所得税は、月給とは計算方法が違います。 「前月の給与から算出した税率」を賞与額に乗じます。給与計算ソフトを使えば自動ですが、手計算する場合は賞与用の算出率表が必要です。

役員賞与は原則として損金になりません

役員への賞与を損金にするには、事前確定届出給与の手続きが必要です。

要件内容
事前の届出株主総会等の決議から1か月以内、または事業年度開始から4か月以内のいずれか早い日まで
支給日と金額を確定「いつ、いくら」を届出書に記載する
届出どおりの支給1円でも違うと全額が損金不算入。日付がずれても同様
支給しなかった場合その分は損金不算入(未払計上も認められない)

「業績が思ったより悪かったから減額する」ができません。これが事前確定届出給与の最大の制約です。届出額を支給できないなら、全額支給しないという選択のほうが影響が小さい場合があります(支給しなければ損金にならないだけで、支給して否認されるのと結果は同じですが、資金は出ていきません)。

決算賞与(従業員向け)

期末に従業員へ支給する賞与を、未払計上して当期の損金にする方法です。要件があります。

  1. 支給額を各人別に、全員に通知していること(期末までに)
  2. 通知した金額を、事業年度終了の翌日から1か月以内に支払っていること
  3. 通知した事業年度に損金経理していること

3つすべてを満たす必要があります。「支給予定」を口頭で伝えただけでは要件を満たしません。各人への通知書と、その控えを残してください。

決算賞与は「決算3か月前に決める」打ち手の一つです。 期末を過ぎてから「利益が出たから賞与を出そう」としても、当期の損金にはできません(決算3か月前にやること)。

社会保険料の注意点

  • 標準賞与額には上限があります — 健康保険は年度累計、厚生年金は1回あたりで上限が設定されています
  • 年4回以上支給すると「報酬」扱い — 賞与ではなく月々の報酬に含めて標準報酬月額を計算します。分割支給する場合は回数に注意
  • 賞与支払届は5日以内 — 提出を忘れると保険料の徴収漏れになります
  • 退職者への賞与 — 資格喪失月に支払った賞与は保険料の対象外になることがあります

仕訳の例

場面処理
支給時賞与 / 預り金(所得税・社会保険料)+普通預金
会社負担の社会保険料法定福利費 / 未払費用(翌月納付)
決算賞与の未払計上賞与 / 未払費用
役員賞与(届出あり)役員賞与 / 預り金+普通預金
役員賞与(届出なし)役員賞与 / …(申告書で加算。損金不算入

科目の詳細は賞与(ボーナス)にまとめています。

年間の流れ

賞与の支給月(6月・12月が多い)には、通常の給与処理に加えて賞与の計算・届出が入ります。年末調整とも重なる12月は特に負荷が高くなります経理担当者がいなくても年末調整を終わらせる手順)。

この時期に記帳が止まる会社は少なくありません。入力を外に出しておくと、賞与と年末調整に集中できます。仕訳件数から費用を試算できます。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

役員に賞与を出すと経費になりますか?

事前確定届出給与の届出をしていなければ全額が損金不算入です。届出は株主総会等の決議から1か月以内、または事業年度開始から4か月以内のいずれか早い日までに提出し、届出どおりの日付・金額で支給する必要があります。1円でも違うと全額否認されます。

決算賞与を未払計上して当期の経費にできますか?

3つの要件をすべて満たせば可能です。支給額を各人別に全員へ期末までに通知していること、通知した金額を事業年度終了の翌日から1か月以内に支払っていること、通知した事業年度に損金経理していること。口頭で伝えただけでは要件を満たさないため、通知書と控えを残してください。

賞与の源泉所得税は給与と同じ計算ですか?

違います。前月の給与額と扶養人数から税率を求め、それを賞与額に乗じます。また社会保険料は標準賞与額(1,000円未満切捨)に保険料率を乗じ、上限があります。年4回以上支給すると賞与ではなく報酬扱いになる点にも注意してください。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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