学習塾・教室の記帳で難しい3つのこと
前月末に受け取る翌月分の月謝を受領時に売上にすると、期末の売上が1か月分ずれます。年間一括や講習の前納があるとずれはさらに大きくなります。講師が給与か外注費かの判定も論点です。
難所は「月謝の前受金」と「講師が外注費か給与か」です
学習塾・教室でまず問題になるのは受け取った月謝をいつ売上にするかです。前月末に翌月分を受け取る形が多く、受領時に全額を売上にすると期末の売上が1か月分ずれます。年間一括や講習会の前納があると、ずれはさらに大きくなります。もう一つは講師への支払——学生アルバイトか業務委託かで、源泉徴収と社会保険の扱いが変わります。
1. 月謝は前受金
| 受け取り方 | 処理 |
|---|---|
| 前月末に翌月分 | 受領時は前受金。翌月に売上へ振替 |
| 年間一括 | 前受金。各月に按分して売上計上 |
| 季節講習の前納 | 前受金。講習の実施月に売上 |
| 入会金 | 入会時の売上。返金規定があれば注意 |
| 教材費 | 教材を渡した時点の売上 |
| 回数券・チケット制 | 販売時は前受金。使用時に売上 |
2. 講師への支払
| 形態 | 扱い | 必要な手続き |
|---|---|---|
| アルバイト講師(雇用) | 給与 | 源泉徴収、扶養控除等申告書の回収、年末調整 |
| 業務委託の講師 | 外注費 | 実態が伴うことが前提。源泉徴収の要否を判定 |
| 個人事業主の講師 | 外注費 | 報酬の性質により源泉徴収 |
時間割が決められ、教室で、塾の教材を使って教える——この形は雇用と判定される可能性が高くなります。業務委託契約書があっても、実態で判断されます(業務委託への支払)。
学生アルバイトが多い業種のため、扶養控除等申告書の回収と、年収の壁への配慮も実務上の負担になります(アルバイト・パートの給与)。
3. 消費税
学習塾の授業料は原則として課税です。学校教育法上の学校等が行う一定の教育に関する役務の提供は非課税ですが、学習塾は通常これに該当しません。
- 授業料・月謝 → 課税
- 入会金 → 課税
- 教材費 → 課税
- 模試の受験料 → 課税
売上が1,000万円を超えると課税事業者になります(消費税の課税事業者になるタイミングと準備)。生徒数の増加で気づかないうちに超えることがあるため、売上規模を毎年確認してください。
4. 生徒別・教室別の管理
- 売上を教室別に分ける — 複数教室なら部門管理で採算を把握
- 未収の月謝を追う — 売掛金の補助科目を生徒別にするか、別途管理表を作る
- 退会・返金 — 前受金の取り崩しと返金の処理
月謝の未収は放置すると回収困難になります。売掛金の年齢調べ(何か月前の未収か)を月次で確認する運用にしてください。
その他の塾・教室特有の処理
| 項目 | 処理 |
|---|---|
| 教材の仕入 | 仕入。期末在庫は棚卸資産 |
| 机・椅子・ホワイトボード | 金額により消耗品費または固定資産 |
| 教室の内装 | 建物附属設備(店舗・事務所の内装工事費) |
| チラシ・ポスティング | 広告宣伝費(チラシ・パンフレットの制作費) |
| タブレット・PC | 10万円未満は消耗品費(10万円前後のパソコン・備品) |
| オンライン授業のシステム | 通信費または支払手数料(クラウドサービスの月額利用料) |
| フランチャイズの加盟金 | 繰延資産。期間で償却 |
| ロイヤリティ | 支払手数料または売上原価 |
外注する場合の確認
- 前受金の管理をどう設計するか(最重要)
- 講師への支払の区分(給与か外注費か)
- 生徒別の未収管理をどちらが行うか
- 複数教室の部門管理に対応できるか
前受金の処理は毎月発生するため、最初に運用を決めれば以降は自動化できます。選び方は記帳代行業者の選び方、費用は仕訳件数から試算できます。
この記事に関するよくある質問
月謝はいつ売上に計上しますか?
対応する月です。前月末に翌月分を受け取る場合、受領時は前受金として処理し、翌月に売上へ振り替えます。年間一括や季節講習の前納も前受金で、各月または実施月に按分します。3月末に受け取る4月分を3月の売上にすると、売上が1か月分過大になります。
アルバイト講師への支払は給与ですか外注費ですか?
時間割が決められ、教室で、塾の教材を使って教える形は雇用と判定される可能性が高く、給与になります。業務委託契約書があっても実態で判断されます。給与なら源泉徴収、扶養控除等申告書の回収、年末調整が必要です。
学習塾の授業料に消費税はかかりますか?
原則として課税です。学校教育法上の学校等が行う一定の教育に関する役務の提供は非課税ですが、学習塾は通常これに該当しません。授業料・入会金・教材費・模試の受験料はいずれも課税で、売上1,000万円を超えると課税事業者になります。