クラウド会計とインストール型の違い(外注の観点で)
機能の優劣ではなく「外注できるか」で比べると差は明確です。クラウド型は権限付与だけ、インストール型はバックアップの往復が必要で上書き事故のリスクがあります。移行を検討すべきタイミングも整理しました。
外注のしやすさで言えば、クラウド型が圧倒的に有利です
機能の優劣ではなく外注できるかという一点で比べると、差は明確です。クラウド型は権限を付与するだけで同じデータを同時に触れるのに対し、インストール型はバックアップの往復が必要で、同じ期間を両方が触ると上書きが起きます。加えてクラウド型は銀行・カード連携が標準のため、そもそも入力量が減ります。
外注の観点で比べる
| 項目 | クラウド型 | インストール型 |
|---|---|---|
| 外注先への共有 | 権限を付与するだけ | バックアップの往復が必要 |
| 同時作業 | できる | できない(上書き事故) |
| 上書き事故 | 起きない | 最大のリスク |
| バージョンの不一致 | 起きない | 復元できないことがある |
| 外注先の選択肢 | 広い | 対応できる事務所に限られる |
| 銀行・カード連携 | 標準 | 製品による |
| 証憑の添付 | 標準機能。電子帳簿保存法に対応しやすい | 別途管理が必要なことが多い |
| 解約時のデータ | 自社名義なら残る | 手元にファイルがある |
| ネットが無い環境 | 使えない | 使える |
| 大量データの処理速度 | 回線に依存 | ローカルで速い |
| 費用 | 月額・年額の継続 | 買い切り+保守(製品による) |
インストール型でも外注はできます
方式は3つあります(勘定奉行のまま記帳を外注する手順に詳細)。
- バックアップの往復 — 最も一般的。期間で区切ることが必須
- リモート接続 — 外注先が自社の環境に接続する。セキュリティの設計が必要
- CSVの受け渡し — 外注先が仕訳CSVを作り、自社で取り込む。データは常に自社にある
3番目はソフトを問わず使えるため、将来ソフトを変えても手順が生きます。
移行を検討すべきタイミング
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 記帳を外に出したいが、対応できる事務所が見つからない | 移行を検討する価値あり |
| バックアップの往復で上書き事故が起きた | 同上 |
| 入力の手間を減らしたい(連携を使いたい) | 同上 |
| 複数拠点から数字を見たい | 同上 |
| いまの運用に問題がない | 移行コストに見合わない。変えなくてよい |
| 外注先に「乗り換えてほしい」と言われただけ | 理由を確認する。対応できる別の事務所を探す選択肢もある |
移行のコスト
データは全部そのまま移るわけではありません。移せるのは期首残高とマスタまでで、過去の仕訳明細は移らないか崩れます。準備から最初の月次が締まるまで実質1〜2か月を見てください(会計ソフトを乗り換えるときのデータ移行)。
どちらを選んでも共通してやること
- 契約は法人名義・法人のメールアドレスで — 担当者の個人アカウントにしない(会計ソフトのログイン情報が分からなくなったとき)
- 管理者を2人以上にする — 1人が来なくなっても入れる状態にする
- 外注先に与える権限を最小限にする — 銀行連携の設定変更やメンバー管理は渡さない
- 作業期間を区切る — 同じ月を両方が触らない
- 月次で残高を照合する — どちらの方式でもこれだけは必須
ソフト別の外注手順は会計ソフト別に、費用の目安は仕訳件数から試算できます。
この記事に関するよくある質問
外注するならクラウド型のほうがいいですか?
外注のしやすさで言えば圧倒的に有利です。権限を付与するだけで同じデータを同時に触れ、上書き事故もバージョンの不一致も起きません。銀行・カード連携が標準なので入力量そのものも減ります。ただしインストール型が劣っているわけではなく、動作の速さや細かい設定では強い場面があります。
インストール型でも記帳を外注できますか?
できます。バックアップの往復、リモート接続、CSVの受け渡しの3方式があります。特にCSV方式はソフトを問わず使えるため、将来ソフトを変えても手順が生きます。ただし往復方式では「同じ期間を両方が触らない」ことが必須です。
いつ移行を検討すべきですか?
記帳を外に出したいのに対応できる事務所が見つからない、バックアップの往復で上書き事故が起きた、入力の手間を減らしたい、複数拠点から数字を見たい——こうした状況なら検討の価値があります。いまの運用に問題がないなら、移行コストに見合わないので変えなくて構いません。