介護・福祉事業の記帳で難しい3つのこと
介護報酬の入金が約2か月遅れるため未収金管理と資金繰りが要ります。処遇改善加算は賃金改善に充てた実績を報告するため区分経理が必要です。サービス種別で消費税の課税・非課税が分かれます。
難所は「約2か月遅れの入金」と「処遇改善加算の区分経理」です
介護事業は介護報酬の入金が約2か月遅れるため、未収金の管理と資金繰りの見通しが欠かせません。加えて処遇改善加算は、受け取った額を職員の賃金改善に充てたことを実績報告で示す必要があり、区分して管理しなければなりません。消費税は介護保険サービスの多くが非課税、自費サービスや物販は課税と分かれます。
1. 入金サイクルと未収金
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| サービス提供月 | 売上と未収金を計上 |
| 翌月10日まで | 国保連へ請求 |
| 翌々月 | 入金。未収金を消込 |
| 返戻・過誤があった場合 | 再請求。調整を忘れると未収金が残り続ける |
| 利用者負担分 | 利用者から直接。回収管理が別途必要 |
2. 処遇改善加算の区分経理
処遇改善加算・特定処遇改善加算などは、受け取った額以上を職員の賃金改善に充てることが要件です。実績報告書の提出が求められます。
- 加算の収入を区分して把握する — 売上の補助科目を分けるのが実務的です
- 賃金改善に充てた額を追える形にする — 手当の名称を分ける、賃金台帳で区分するなど
- 実績報告の根拠資料を残す — 加算額と賃金改善額の対応
会計上は「加算収入」と「その原資で払った手当」を紐づけられる形にしておくことが、報告時の手間を大きく減らします。
3. 消費税の区分
| 収入 | 消費税 |
|---|---|
| 介護保険の居宅・施設サービス | 非課税のものが多い |
| 利用者負担分 | サービスの性質による |
| 食費・居住費 | サービスの区分による |
| おむつ代などの日用品 | 課税 |
| 介護保険外の自費サービス | 課税 |
| 福祉用具の販売 | 課税 |
| 福祉用具の貸与 | 非課税のものがある |
サービスの種類ごとに判定が分かれるため、売上を区分して計上する設計が必要です。非課税売上が多いと課税売上割合が下がり、仕入税額控除の計算方法にも影響します。
4. 事業所別・サービス別の管理
複数の事業所や複数のサービス種別(訪問介護・通所介護・居宅介護支援など)を運営する場合、事業所別・サービス別の損益を把握できる形にします。
- 会計ソフトの部門機能を使う
- 共通費(本部人件費、事務所家賃)の配賦基準を決める
- 指定基準上、区分経理が求められる場合がある
どのサービスが赤字かを把握できないと、事業の見直しができません。
その他の処理
| 項目 | 処理 |
|---|---|
| 送迎車両 | 固定資産。福祉車両は特例の対象になることがある |
| 介護用ベッド・入浴設備 | 金額により固定資産 |
| おむつ・衛生用品 | 消耗品費。期末在庫が多ければ貯蔵品 |
| 職員の研修・資格取得 | 研修費(資格取得・セミナー受講の費用) |
| 補助金・助成金 | 受け取った期の収益。圧縮記帳の適用可否を確認(補助金・助成金を受け取った) |
| 賠償責任保険 | 保険料 |
| 夜勤手当・処遇改善手当 | 給与。手当の名称を分けておく |
外注する場合の確認
- 介護事業の対応経験があるか(実績報告まで理解しているか)
- 国保連の請求データと会計をどう突合するか
- 処遇改善加算の区分管理をどう設計するか
- 事業所別・サービス別の部門管理に対応できるか
- 非課税・課税の区分をどう管理するか
介護は請求の仕組みが独特なので、経験の有無で月次の負担が大きく変わります。選び方は記帳代行業者の選び方、費用は仕訳件数から試算できます。
この記事に関するよくある質問
介護報酬はいつ入金されますか?
サービス提供月の翌々月です。翌月10日までに国保連へ請求し、その翌月に入金されます。開設直後は2か月間入金がないため、人件費を賄う運転資金の確保が必要です。返戻や過誤があった場合の調整を忘れると未収金が残り続けます。
処遇改善加算の経理はどうすればいいですか?
加算の収入を売上の補助科目で区分し、その原資で支払った手当を賃金台帳で追える形にします。受け取った額以上を職員の賃金改善に充てたことを実績報告で示す必要があるため、加算額と賃金改善額を紐づけられる形にしておくと報告時の手間が大きく減ります。
介護サービスの消費税はどうなりますか?
介護保険の居宅・施設サービスは非課税のものが多く、おむつ代などの日用品、介護保険外の自費サービス、福祉用具の販売は課税です。サービスの種類ごとに判定が分かれるため、売上を区分して計上する設計が必要です。