業種別 ・ 約7分

運送業の記帳で難しい3つのこと

費用の大半が車両に紐づくため車両別の原価管理が経営判断を左右します。傭車費が外注費か給与かの判定、自社給油設備がある場合の燃料の期末在庫も論点です。荷主別の採算管理も重要です。

まず結論

難所は「車両費の切り分け」と「傭車費が外注費か給与か」です

運送業は費用の大半が車両に紐づくため、車両ごとの原価管理ができているかで経営判断の精度が変わります。もう一つは傭車(協力会社・個人ドライバー)への支払——実態が雇用に近いと給与認定され、源泉所得税と消費税の両方で影響が出ます。加えて燃料の期末在庫を計上していない会社が多く見られます。

1. 車両ごとの原価管理

運送業の費用は、その多くが特定の車両に紐づきます。車両ごとに集計できる形にしておくと、採算が見えます。

費用科目備考
燃料燃料費カード払いなら車両別に分けられる(ガソリン代
高速道路料金旅費交通費または運送費ETCの明細で車両別に把握(高速道路料金・タクシー代
修理・車検修繕費車検時の自賠責・重量税は分けて処理
タイヤ消耗品費高額なら資産計上の検討
自動車保険保険料期間対応(火災保険・自動車保険の保険料
自動車税・重量税租税公課固定資産税・自動車税
減価償却費減価償却費中古車は耐用年数の見積り(中古車の耐用年数
リース料賃借料所有権移転外リースは資産計上が原則
会計ソフトの部門機能を車両単位で使うと、1台あたりの採算が出ます。 「この車両は動かすほど赤字」という状況を、感覚ではなく数字で把握できます。ドライバー単位でも同様です。

2. 傭車費の判定

協力会社や個人ドライバーへの支払です。相手が法人なら外注費で問題ありませんが、個人の場合は判定が必要です。

要素外注費に近い給与に近い
車両本人所有(持ち込み)会社の車両を使う
燃料費本人負担会社負担
報酬運行ごと・出来高日給・月給
指揮命令配車のみ勤務時間・ルートを指示
代替性他の人でも可本人指定

給与と認定されると、過去分の源泉所得税・不納付加算税・延滞税に加え、消費税の仕入税額控除も否認されます(業務委託への支払)。

3. 燃料の期末在庫

自社に給油設備がある場合、期末のタンク在庫は棚卸資産です。計上していない会社が少なくありません。

また、期末に大量給油して費用にするという処理は、在庫として資産計上すべきものです。金額が大きい場合は指摘されます。

4. 荷主別の採算

売上を荷主ごとに管理すると、「この荷主は運賃が安すぎる」という判断ができます。

  • 売上を荷主別に補助科目で分ける
  • その運行にかかった費用(燃料・高速・人件費)を対応させる
  • 荷主別の粗利を月次で見る

燃料価格が変動する業種なので、採算が合わなくなった契約を早く見つけることが経営に直結します。

その他の運送業特有の処理

項目処理
ドライバーの日当旅費交通費(規程があれば)または給与
運行管理システム・デジタコ金額により消耗品費または固定資産
荷役作業の外注外注費
事故の賠償金損害賠償金を支払った
保険金の受取雑収入(保険金を受け取った
倉庫の賃料地代家賃。事業用なので課税
フォークリフト固定資産。特別償却の対象になることがある
交通違反の反則金損金にならない交通違反の反則金・罰金

外注する場合の確認

  • 車両別・荷主別の部門管理に対応できるか
  • 傭車費の扱いをどう整理するか
  • ETC・燃料カードの明細をどう取り込むか
  • 燃料の在庫計上をどうするか

ETCと燃料カードの明細はデータで取得できるため、自動連携を設定すれば入力の大半が消えます。件数が多い業種ほど、この効果が大きくなります。選び方は記帳代行業者の選び方、費用は仕訳件数から試算できます。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

運送業で車両ごとの原価管理は必要ですか?

経営判断のために必要です。燃料費、高速料金、修理、タイヤ、保険、減価償却——費用の大半が特定の車両に紐づくため、会計ソフトの部門機能を車両単位で使うと1台あたりの採算が数字で見えます。

傭車費は外注費として処理できますか?

相手が法人なら問題ありませんが、個人の場合は実態で判定されます。車両が本人所有で燃料費も本人負担、報酬が運行ごとの出来高で、配車以外の指揮命令が無ければ外注費として説明できます。会社の車両を使い日給制であれば給与と認定される可能性が高くなります。

燃料の在庫は計上が必要ですか?

自社に給油設備がある場合、期末のタンク在庫は棚卸資産として計上が必要です。計上していない会社が少なくありません。期末に大量給油して費用にする処理も、在庫として資産計上すべきものです。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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