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税務調査で指摘されやすい10の論点

中小企業の指摘は「期ズレ」と「区分」がほとんどで、悪意のない誤りが大半です。売上の計上時期、棚卸、交際費の5,000円基準、外注費か給与か、役員給与、印紙税など、事前に自社で点検できる項目を挙げました。

まず結論

指摘の多くは「期ズレ」と「区分」です。悪意のない誤りが大半を占めます

中小企業の税務調査で問題になるのは、脱税のような話ではなく売上や費用の計上時期がずれている(期ズレ)交際費・給与・資産の区分を誤っているという2種類がほとんどです。どちらも事前に自社で確認できるものなので、調査の連絡が来る前に一度点検しておくと、当日の指摘が大きく減ります。

1. 売上の計上時期(最頻出)

期末近くの売上が翌期に入っていないかを見られます。

  • 計上基準を決めて継続しているか — 出荷基準・引渡基準・検収基準のどれか。年度によって変えていないか。
  • 期末の請求書 — 3月31日納品・4月請求のものが、3月の売上になっているか。
  • 売掛金の残高 — 翌期の入金と対応しているか。
  • 工事・受託開発 — 進行基準か完成基準か。長期のものは特に見られます。

2. 期末の在庫

  • 棚卸表があるか — 日付・品名・数量・単価が入ったもの。これが無いと在庫の金額を裏付けられません。
  • 仕入れたが計上していない在庫 — 期末に届いて未検収のもの、預け在庫、外注先にある材料。
  • 評価損 — 廃棄や陳腐化による評価減には要件があります(商品を廃棄した・棚卸資産の評価損)。

3. 交際費と会議費

1人あたり5,000円以下の飲食費を交際費から除外するには、参加者の氏名と人数の記録が必要です。記録が無ければ交際費として扱われ、損金算入の上限に影響します。

領収書の裏に「◯◯商事 山田様、△△様、自社2名」と書くだけで足ります。詳しくは打ち上げ・懇親会の飲食代にまとめています。

4. 外注費か給与か

金額が最も大きくなる論点です。業務委託として源泉徴収せずに支払っていた報酬が給与と認定されると、次の3つが同時に起きます。

  • 過去分の源泉所得税(会社が納付)
  • 不納付加算税・延滞税
  • 消費税の仕入税額控除の否認(給与は不課税のため)

判定は、指揮命令の有無・代替性・報酬の性質・材料や用具の負担などを総合して行われます。契約書の名称ではありません。詳しくは業務委託への支払(外注費か給与か)

5. 修繕費か資本的支出か

大きな修理を一括で費用にしていないか。原状回復なら修繕費、価値を高める・使用可能期間を延ばすなら資産計上です。判断に迷う場合の形式基準もあります(修理代(修繕費か資本的支出か))。

6. 役員給与

  • 期中の増額 — 定期同額給与の要件を外れると、増額分が損金不算入になります。
  • 役員賞与 — 事前確定届出給与の届出が無ければ全額損金不算入。届出と1円でも違うと全額です(賞与(ボーナス))。
  • 経済的利益 — 社宅の賃料が低すぎる、社用車を私的に使っている、生命保険料の負担。
  • 未払計上 — 実際に支払っていない役員報酬の計上。

7. 私的な支出の混入

家族での飲食、個人的な買い物、私的な旅行。金額の大小より「継続しているか」が見られます。継続的・意図的と判断されれば、重加算税の対象になり得ます。

8. 消費税の課税区分

  • 非課税・不課税・免税の取り違え(保険料、給与、海外取引)
  • 軽減税率(8%)と標準税率(10%)の判定
  • インボイスの無い仕入について、経過措置の割合を正しく適用しているか(インボイス制度で記帳がどう変わったか

9. 人件費まわり

  • 架空人件費 — 実在しない従業員への給与。タイムカードや振込記録で確認されます。
  • アルバイトの源泉徴収漏れ — 扶養控除等申告書の有無で税額が変わります。
  • 通勤手当 — 非課税限度額を超えていないか(通勤手当)。

10. 印紙税

契約書・領収書への収入印紙の貼り忘れ。貼っていないと本来の印紙税額の3倍の過怠税が課され、これは損金になりません(収入印紙)。調査で必ず契約書を見られるため、見つかりやすい論点です。

事前に自社でできる点検

  1. 期末前後1か月の売上と仕入を並べて、計上時期を確認する
  2. 棚卸表が保存されているか確認する
  3. 交際費の領収書に参加者の記録があるか確認する
  4. 業務委託の契約書と実態が合っているか確認する
  5. 役員給与の変更履歴と議事録を確認する
  6. 契約書の印紙を確認する

調査の連絡が来てからの動き方は税務調査の連絡が来たときに最初にやることにまとめています。連絡が来てから帳簿を直すのは最もやってはいけないことなので、点検は平時に行ってください。

これらの論点は、記帳の段階で正しく処理していれば指摘されません。判断が必要な取引を税理士が見る体制になっていれば、そもそも誤りが積み上がりません。仕訳件数から費用を試算できます。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

税務調査で最も指摘が多い論点は何ですか?

売上の計上時期(期ズレ)です。期末近くの売上が翌期に入っていないか、計上基準を決めて継続しているかを見られます。次に多いのが交際費・給与・資産の区分の誤りで、どちらも悪意のない誤りが大半です。

金額が大きくなりやすい指摘はどれですか?

外注費が給与と認定されるケースです。過去分の源泉所得税、不納付加算税・延滞税、そして消費税の仕入税額控除の否認が同時に発生します。判定は契約書の名称ではなく、指揮命令の有無・代替性・報酬の性質などの実態で行われます。

交際費の5,000円基準を使うのに必要なものは何ですか?

参加者の氏名と人数の記録です。1人あたり5,000円以下でも、記録が無ければ交際費として扱われます。領収書の裏に「◯◯商事 山田様、△△様、自社2名」と書くだけで足ります。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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