実務の手順 ・ 約8分

税務調査の連絡が来たときに最初にやること

連絡が来た日にやることは日程調整と税理士への連絡の2つだけです。帳簿を書き換えるのは最もやってはいけないこと。揃える資料の一覧、よく見られる論点、当日の流れ、指摘を受けたときの対応まで実務の順にまとめました。

まず結論

連絡が来た日にやることは「日程調整」と「税理士への連絡」の2つだけです

税務調査の連絡は、多くの場合事前に電話で来ます。その場で日程を確定させる必要はありません。「顧問税理士と相談して折り返します」と伝えれば足ります。慌てて資料を作り直したり、帳簿を修正したりするのは最もやってはいけないことです。準備期間は通常2〜3週間あり、その間にやるべきことは決まっています。

連絡が来た日にやること

  1. 相手を確認する — 税務署名・部門・担当者名・連絡先を控えます。折り返しに必要です。
  2. 調査の対象を確認する — 税目(法人税・消費税・源泉所得税など)と、対象となる事業年度。通常は直近3期分です。
  3. 日程はその場で決めない — 「顧問税理士と調整して折り返します」で構いません。準備が整っていない日程を受けると不利になります。
  4. 税理士に連絡する — 顧問税理士がいれば、その日のうちに伝えます。立会いの依頼と、日程調整を任せられます。
「税務署から電話が来た」だけで慌てる必要はありません。 調査は不正の疑いがあるから来るとは限りません。一定期間ごとの定期的なもの、業種の傾向によるもの、取引先の調査から派生するものなど、理由はさまざまです。

絶対にやってはいけないこと

やってはいけないなぜ
帳簿を書き換える会計ソフトには更新履歴が残ります。修正の痕跡は把握されると考えてください。隠そうとした事実そのものが重加算税の要件(隠蔽・仮装)に近づきます
証憑を捨てる・作り直す同上。取引先への反面調査で相手方の資料と突き合わされます
「たぶん」で答えるその場の推測が記録に残ります。分からないことは「確認して後日回答します」が正解です
聞かれていないことまで話す話が広がり、調査対象外の論点に飛び火します
調査官を長時間待たせる資料が出てこないこと自体が、管理体制への疑問につながります

調査までに揃えておく資料

準備期間は2〜3週間が一般的です。以下を対象年度分(通常3期)揃えます。

区分揃えるもの
帳簿総勘定元帳、仕訳日記帳、現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳
決算関係決算書、申告書の控え、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書
証憑請求書、領収書、契約書、注文書、納品書(受領分・発行分の両方)
金融通帳(事業用のすべて)、当座勘定照合表、借入金の返済予定表
人件費賃金台帳、源泉徴収簿、扶養控除等申告書、タイムカード、雇用契約書
在庫棚卸表(日付・品名・数量・単価が入ったもの)
固定資産固定資産台帳、購入時の契約書・請求書
その他議事録、稟議書、社内規程(旅費規程・慶弔規程など)

調査でよく見られる論点

業種によりますが、中小企業で指摘が多いのは次の項目です。事前に自分で確認しておくと、その場で答えられます。

  • 売上の計上時期 — 期末近くの売上が翌期にずれていないか。出荷基準・検収基準のどちらを採っているか、継続しているか。
  • 期末の在庫 — 棚卸表の裏付けがあるか。仕入れたが計上していない在庫がないか。
  • 交際費と会議費 — 5,000円基準を使うなら参加者の記録が要ります。記録がなければ交際費です(打ち上げ・懇親会の飲食代)。
  • 外注費か給与か — 業務委託への支払が実質的に雇用なら給与と認定され、源泉徴収漏れと消費税の仕入税額控除の否認が同時に起きます(業務委託への支払)。
  • 役員給与 — 期中の変更、未払計上、経済的利益(社宅・車両の私的利用)。
  • 修繕費か資本的支出か — 大きな修理を一括で費用にしていないか(修理代)。
  • 私的な支出の混入 — 個人的な飲食・旅行・買い物が経費に入っていないか。

当日の流れ

  1. 午前 — 概況のヒアリング。事業内容、組織、取引の流れ、繁忙期などを聞かれます。ここは経営者が答える場面です。
  2. 午後 — 帳簿と証憑の確認。調査官が自分で資料を見ていきます。
  3. 2日目以降 — 疑問点の確認、追加資料の依頼。中小企業では2日間が標準です。
  4. その後 — 調査結果の説明。指摘があれば修正申告を求められます。納得できなければ、その場で応じる必要はありません。
調査官への対応は、経営者と税理士が行います。 経理担当者は資料を出す役割に徹して構いません。判断を伴う受け答えを担当者に任せると、意図しない発言が記録に残ります。

指摘を受けたら

修正申告に応じるかどうかは選べます。事実関係に争いがなければ応じるのが通常ですが、解釈の相違であれば主張できます。応じない場合は税務署が更正処分を行い、それに対して不服申立てをする流れになります。

追徴された法人税・住民税は損金になりません。加算税・延滞税も同様です(延滞税・加算税・延滞金)。税務調査の立会報酬は損金になります税務調査の立会費用)。

いちばんの準備は「日々の記帳」です

調査で問題になるのは、多くの場合資料が出てこないことです。取引の裏付けが示せないと、こちらの言い分が通りません。逆に、帳簿と証憑が揃っていれば、多少の見解の相違があっても大きな指摘にはなりません。

記帳が遅れて期末にまとめて処理している会社ほど、証憑の散逸が起きます。毎月きちんと締める体制があるかどうかが、そのまま調査での強さになります。記帳を社内で抱えきれない場合は、外注した場合の費用を試算してみてください。


記帳・経理のご相談。 月間の仕訳件数・お使いの会計ソフト・業種をうかがえば、外注した場合の概算と、雇った場合との比較を無料でお出しします。 無料相談はこちら →
よくある質問

この記事に関するよくある質問

税務調査の連絡が来たら、その場で日程を決めるべきですか?

決める必要はありません。「顧問税理士と相談して折り返します」で構いません。準備が整わない日程を受けると不利になります。相手の税務署名・部門・担当者名・連絡先と、調査の対象税目・対象年度を控えてから折り返してください。

調査までに帳簿の間違いを直しておくべきですか?

直してはいけません。会計ソフトには更新履歴が残り、修正の痕跡は把握されると考えてください。隠そうとした事実そのものが重加算税の要件に近づきます。誤りに気づいた場合は、税理士に伝えて対応方針を決めてください。

調査官への対応は経理担当者がしてもいいですか?

経理担当者は資料を出す役割に徹してください。判断を伴う受け答えは経営者と税理士が行います。担当者が推測で答えると、その発言が記録に残り、意図しない論点に広がることがあります。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

月間の仕訳件数・使っている会計ソフト・業種をうかがい、外注した場合の概算と、いま雇っている(雇おうとしている)場合との比較を無料でお出しします。会計ソフトの乗り換えは必要ありません。無理な勧誘はいたしません。