仕組みの解説 ・ 約6分

帳簿の保存期間と保存方法

法人は原則7年、欠損金が生じた事業年度は10年。会社法は10年を求めているため実務では10年で統一するのが安全です。起算日は決算日ではなく申告期限の翌日。期間が過ぎても残すべき書類も整理しました。

まず結論

法人は原則7年。ただし赤字が出た事業年度は10年です

帳簿書類の保存期間は、法人税法上は原則7年ですが、欠損金が生じた事業年度は10年になります。さらに会社法は帳簿と重要な資料を10年保存することを求めており、実務では10年で揃えておくのが安全です。個人事業主は青色申告で原則7年(一部5年)、白色申告で5年です。

法人の保存期間

根拠対象期間
法人税法帳簿・決算書類・証憑原則7年
法人税法(欠損金)欠損金が生じた事業年度の帳簿書類10年
会社法432条2項会計帳簿と事業に関する重要な資料10年
消費税法帳簿・請求書等(仕入税額控除の要件)7年
迷ったら10年で統一するのが実務的です。 「この年度は赤字だから10年、この年度は黒字だから7年」と分けて管理するほうが手間もリスクも大きくなります。保管スペースの問題がなければ、10年で揃えてください。

起算日はいつか

作成日や取引日ではありません。法人税法上は「事業年度の確定申告書の提出期限の翌日」から数えます。

3月決算の会社であれば、申告期限は5月31日。その翌日である6月1日から7年(または10年)です。つまり実質的には、決算日から7年2か月ほど保存することになります。

何を保存するのか

区分具体例
帳簿総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳
決算関係貸借対照表、損益計算書、棚卸表、申告書の控え
現預金の証憑領収書、預金通帳、借用証、小切手控、手形控
取引の証憑請求書、納品書、注文書、契約書、送り状、見積書
その他賃金台帳、源泉徴収簿、稟議書、議事録

個人事業主の場合

区分青色申告白色申告
帳簿7年7年
決算関係書類7年5年
現預金取引等関係書類7年(前々年分の所得が300万円以下なら5年)5年
その他の書類5年5年

個人も、消費税の課税事業者であれば仕入税額控除の要件として帳簿と請求書等の7年保存が必要です。所得税と消費税で期間が違う点に注意してください。

電子で受け取ったものは電子のまま

メールやWebで受け取った請求書・領収書は、印刷して紙で保存するだけでは要件を満たしません。電子取引データとして電子のまま保存する義務があります。詳しくは電子帳簿保存法の要件を満たす証憑の保存方法にまとめています。

保存していないとどうなるか

  • 経費が否認される — 証憑が無ければ支出の裏付けが示せません。実害として最も大きいのがこれです。
  • 仕入税額控除が認められない — 消費税では帳簿と請求書等の保存が控除の要件です。保存が無ければ控除できず、納税額が跳ね上がります。
  • 青色申告の承認取消し — 帳簿書類の備付け・記録・保存が適切でない場合、承認が取り消されることがあります。
  • 推計課税 — 帳簿が無い場合、同業他社の水準などから所得を推計されることがあります。

実務的な保管方法

  1. 年度ごとに箱を分ける — 「2026年3月期」と書いた箱に、その期の証憑をまとめます。
  2. 月ごとに封筒で仕切る — 探すときに月単位で当たれます。
  3. 廃棄予定日を箱に書く — 「2036年6月以降廃棄可」と書いておけば、判断が要りません。
  4. 感熱紙はコピーかスキャンを併存させる — レシートは数年で文字が消えます。
  5. 電子データは年度フォルダに集約 — ファイル名を「日付_取引先_金額」で統一します。

捨てる前に確認すること

期間が過ぎても、次に該当するものは残したほうが安全です。

  • 固定資産の取得時の資料 — 売却・除却まで必要になります。取得から何十年も経つことがあります。
  • 繰越欠損金に関する資料 — 繰越期間中は根拠が必要です。
  • 不動産の取得資料 — 譲渡所得の計算に必要です。
  • 訴訟・係争中の案件に関する資料
  • 会社設立・組織再編の資料 — 会社が存続する限り参照される可能性があります。

担当者の交代時に、保管ルールが分からず一括で捨ててしまう事故が起きます。箱に廃棄予定日を書いておくだけで防げます。引き継ぎの観点は経理が1人しかいない会社が休職・退職に備える方法にまとめています。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

帳簿は何年保存すればいいですか?

法人税法上は原則7年ですが、欠損金が生じた事業年度は10年です。さらに会社法432条2項が会計帳簿と重要な資料の10年保存を求めているため、実務では10年で統一するのが安全です。年度ごとに期間を分けて管理するほうが手間もリスクも大きくなります。

保存期間はいつから数えますか?

作成日や取引日ではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日からです。3月決算なら申告期限は5月31日なので、6月1日から7年(または10年)になります。実質的には決算日から7年2か月ほど保存することになります。

保存期間が過ぎても残したほうがいい書類はありますか?

あります。固定資産の取得時の資料(売却・除却まで必要)、繰越欠損金に関する資料、不動産の取得資料(譲渡所得の計算に必要)、訴訟中の案件の資料、会社設立や組織再編の資料です。箱に廃棄予定日を書いておくと、担当者が代わっても誤って捨てられません。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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