経費精算のルール設計
滞る原因は申請する側が「これは出していいのか」を判断できないことです。認める範囲と上限、そして「認めないもの」を書面で決めると問い合わせが激減します。締切を過ぎたら翌月精算にする運用も併せて。
「経費になるか」を毎回考えさせないルールを作ります
経費精算が滞る原因は、申請する側が「これは出していいのか」を判断できないことです。だから溜まる。解決策は認める範囲と上限を書面で決めて、迷いを消すこと。あわせて締切を守らなければ翌月精算という運用にすれば、月次は締まるようになります。規程があると、税務調査でも説明しやすくなります。
ルールに書くこと
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 対象になる支出 | 交通費、出張費、接待、書籍、備品、通信費など |
| 上限額 | 1件あたり/月あたり。超える場合は事前承認 |
| 事前承認が要るもの | 高額な支出、出張、接待 |
| 証憑 | 領収書またはレシート。無い場合の扱い |
| 締切 | 「毎月◯日まで」と日付で。過ぎたら翌月扱い |
| 精算日 | 給与と同時か、別途振込か |
| 承認の流れ | 誰が承認するか。金額による段階 |
| 認めないもの | これを書くと問い合わせが激減します |
判断が分かれやすい支出
| 支出 | ポイント |
|---|---|
| 飲食代 | 参加者と目的の記録が必須。社外を含み1人5,000円超なら交際費(打ち上げ・懇親会の飲食代) |
| 書籍 | 業務に関連するもの。個人の趣味との線引きを書いておく(新聞・書籍・雑誌の購読料) |
| 資格取得 | 業務に必要なものは研修費。個人の資格は給与課税の可能性(資格取得・セミナー受講の費用) |
| スーツ・衣類 | 原則は個人負担。制服・作業着なら経費(制服・作業着) |
| 自宅の通信費 | 在宅勤務なら按分。基準を決めて全員同じ扱いにする |
| タクシー | 使ってよい条件(時間帯、荷物、緊急時)を書く |
| 出張の日当 | 旅費規程があれば非課税で支給できる。無ければ給与課税 |
出張旅費規程を作る価値
出張が多い会社では、旅費規程を作ると日当を非課税で支給できます。
- 実費精算だと領収書の管理が煩雑
- 日当なら定額支給で、受け取る側も所得税がかからない
- ただし社会通念上妥当な金額であること、全社員に適用される規程であることが必要
- 役員だけ高額に設定するといった運用は否認のリスクがあります
電子帳簿保存法との関係
経費精算で受け取る証憑にも、保存のルールが適用されます。
- 紙の領収書 — 紙のまま保存で問題ありません
- メールやWebで受け取った領収書 — 電子のまま保存が義務(電子帳簿保存法の要件を満たす証憑の保存方法)
- ネット通販、交通系ICのWeb明細、サブスクの領収書はすべて電子取引です
経費精算システムを使うと、この保存要件を満たしやすくなります。
滞らせない運用
- 締切を日付で決める — 「毎月5日まで」など
- 過ぎたら翌月扱い — 例外を作らない。一度認めると全員が遅れます
- スマホで申請できるようにする — 紙の申請書が最大の障壁
- 使った日に撮影する — 月末にまとめてやるから遅れる
- 承認者を明確にする — 誰の承認待ちかが分かる状態に
私的支出の混入を防ぐ
税務調査で指摘されやすい論点です(税務調査で指摘されやすい10の論点)。
- 金額の大小より「継続しているか」が見られます
- ルールに「認めないもの」を明記しておけば、会社としての姿勢を示せます
- 承認の記録が残っていれば、意図的でないことの説明材料になります
規程のひな形
ゼロから作る必要はありません。認める範囲・上限・締切・認めないもの——この4つを書いた1枚から始めれば十分です。運用しながら、問い合わせが来た項目を追記していけば、自社に合ったものになります。
証憑の集め方全体は証憑の集め方と保管ルールに、月次を締める手順は月次決算を5営業日で締める手順にまとめています。無料の証憑整理シートもご利用ください。
この記事に関するよくある質問
経費精算が毎月遅れます。どうすればいいですか?
認める範囲と上限を書面で決めて、申請する側の迷いを消してください。特に「認めないもの」(私的な飲食、家族との食事、個人の資格取得、日用品など)を明記すると問い合わせがほぼ無くなります。あわせて締切を日付で決め、過ぎたら翌月精算にします。
出張の日当は経費にできますか?
出張旅費規程があれば、日当を非課税で支給できます。実費精算より領収書の管理が楽になり、受け取る側も所得税がかかりません。ただし社会通念上妥当な金額であること、全社員に適用される規程であることが必要で、役員だけ高額に設定すると否認のリスクがあります。
ネット通販の領収書はどう保存しますか?
電子取引にあたるため、電子のまま保存する義務があります。印刷して紙で保管しデータを消す運用は要件を満たしません。交通系ICのWeb明細やサブスクの領収書も同じです。経費精算システムを使うと保存要件を満たしやすくなります。