判断の材料 ・ 約7分

「月額5,500円」の記帳代行で足りる会社・足りない会社

安さは不当ではなく、範囲を絞った適正価格です。足りるかどうかは金額でなく、自社の取引に税務判断がどれだけ含まれるかで決まります。年間総額での比較と、判断の目安6項目を示しました。

まず結論

「判断が要らない会社」なら足ります。要る会社では、その分の負担が社内に残ります

月5,500円の記帳代行は、入力という作業に対しては適正な価格です。足りるかどうかは金額ではなく、自社の取引に税務判断がどれだけ含まれるかで決まります。取引が単純で、迷う仕訳がほとんど無い会社なら十分です。逆に判断が必要な取引が毎月あるなら、その確認作業が丸ごと社内に残ります

足りる会社の条件

条件理由
取引の種類が少ない毎月同じパターンの仕訳が繰り返される。判断が発生しない
仕訳件数が枠内最低料金の枠(多くは月50〜100件)に収まる
証憑がデータで整理済み追加費用が発生しない
免税事業者または簡易課税仕入側の税区分判定が不要(インボイス制度で記帳がどう変わったか
固定資産がほとんど無い減価償却や資産計上の判断が発生しない
社内に判断できる人がいる止まった仕訳を自分で決められる
決算・申告を別に依頼済み年額の総額を把握できている

足りなくなる会社の条件

状況何が起きるか
本則課税である仕入1件ごとにインボイスの有無と税区分の判定が必要。判定は税務判断にあたるため、業者は決められない
設備投資がある費用か資産か、耐用年数は何年か(10万円前後のパソコン・備品
業務委託への支払がある外注費か給与か(業務委託への支払)。誤ると源泉徴収漏れ+消費税の否認
飲食の支出が多い会議費か交際費か。5,000円基準を使うなら記録も必要
在庫がある棚卸、評価、期末の未着品
仕訳件数が枠を超える超過分の単価が加算され、結局は相場並みになる
紙の領収書を送る整理・スキャンの手間で加算される

「安い」の内訳を分解する

月5,500円で提供できるのは、次の条件が揃っているからです。

  • 入力を大量・定型的に処理する体制(オフショアやAIの活用を含む)
  • 税務判断を含まない=有資格者の時間を使わない
  • 証憑がデータで届く前提
  • 件数の上限が設定されている

これは不当に安いわけではなく、範囲を絞った適正価格です。問題は「範囲外のことが自社で起きるか」だけです。

実際にかかる総額で見る

項目記帳代行のみ顧問(記帳込み)
月額5,500円30,000円
年間の月額分66,000円360,000円
決算・申告別途 15〜25万円顧問料の4〜6か月分(含む契約もある)
判断の確認工数社内に残る含まれる
年間総額21.6〜31.6万円+社内工数48〜54万円

差額は年20万円前後。その差で「判断の確認」と「止まらないこと」を買うかどうかという選択になります。月に5時間確認作業が発生しているなら、年60時間。時間単価で考えると判断が変わります。

使い分けの実例

  • 個人事業主・売上1,000万円以下・免税事業者 — 記帳代行だけで足りることが多い。確定申告も自分でできる範囲(税理士に頼まず自分で申告できるか)。
  • 設立初年度の法人・取引が少ない — 記帳代行+決算だけスポットで依頼、という形が成り立ちます。
  • 従業員がいる法人・本則課税 — 判断が毎月発生するため、税理士が関与する形のほうが結果的に安いことが多い。
  • 設備投資や在庫がある — 判断の頻度が高く、誤りのコストも大きい。

判断の目安

次の質問に「はい」が多いほど、記帳代行だけでは足りません。

  1. 毎月「これはどう処理する?」と迷う取引があるか
  2. 本則課税か
  3. 10万円以上の備品を買うことがあるか
  4. 業務委託・外注への支払があるか
  5. 在庫を持っているか
  6. 従業員がいるか

迷う場合は、まず仕訳件数から両方の金額を試算してみてください。記帳のみと決算込みの金額が同時に出るので、年額の差が具体的に見えます。見積りを取るときの確認項目は記帳代行の見積りで必ず確認する8項目に。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

月5,500円の記帳代行は安すぎて不安ですが大丈夫ですか?

不当に安いわけではありません。入力を定型的に処理し、税務判断を含まず、証憑がデータで届く前提で、件数の上限を設けているためです。範囲を絞った適正価格なので、その範囲外のことが自社で起きるかどうかだけが問題です。

どんな会社なら記帳代行だけで足りますか?

取引の種類が少なく毎月同じ仕訳が繰り返される、仕訳件数が枠内、証憑がデータで整理済み、免税事業者または簡易課税、固定資産がほとんど無い、社内に判断できる人がいる——これらに当てはまる会社です。

足りなくなるのはどんな場合ですか?

本則課税である(仕入1件ごとにインボイスと税区分の判定が必要)、設備投資がある、業務委託への支払がある、飲食の支出が多い、在庫がある、従業員がいる。これらは税務判断が発生し、業者は決められないため、確認作業が社内に残ります。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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