記帳代行と経理代行と税理士顧問の違い
3つの違いは業務範囲の広さではなく「税務判断が含まれるか」です。記帳代行と経理代行は業者だけでは「この支出は経費か」に答えられません。実務で作業が止まるか止まらないかが最大の違いです。
3つの違いは「範囲」ではなく「税務判断が含まれるか」です
記帳代行は入力だけ、経理代行は入力+周辺業務(請求・支払・給与)、税理士顧問は税務判断と申告まで。多くの説明が「業務範囲の広さ」で比べますが、実務で決定的なのは税務の判断が含まれるかどうかです。記帳代行と経理代行は、業者だけでは「この支出は経費か」に答えられません。ここで作業が止まるか止まらないかが、最大の違いです。
3つを並べる
| 項目 | 記帳代行 | 経理代行 | 税理士顧問 |
|---|---|---|---|
| 仕訳の入力 | ○ | ○ | ○(含む契約なら) |
| 証憑の整理 | ○ | ○ | ○ |
| 請求書の発行・入金消込 | × | ○ | △(事務所による) |
| 支払データの作成 | × | ○ | △ |
| 給与計算 | × | ○ | △ |
| 月次資料の作成 | △ | ○ | ○ |
| 税務相談 | × | × | ○ |
| 決算書・申告書の作成 | × | × | ○ |
| 税務調査の立会い | × | × | ○ |
| 費用の目安 | 月5,500円〜/1仕訳50〜100円 | 月5〜20万円 | 月3〜6万円+決算料 |
実務で何が起きるか
記帳代行に頼んだ場合
入力は進みますが、判断が必要な取引で止まります。「この10万円のパソコンは費用ですか資産ですか」「この飲食代は会議費ですか交際費ですか」——業者は答えられません(答えたら税理士法違反です)。
結果として、判断が必要な取引が保留のまま溜まり、決算のときにまとめて確認することになります。費用は安いですが、判断の負担は社内に残ります。
経理代行に頼んだ場合
請求・支払・給与まで含めて手が空きます。ただし税務判断は同じく含まれません。決算・申告は別途、税理士に依頼する必要があります。
費用が月5〜20万円と幅があるのは、業務範囲の差です。「どこまで含むか」を書面で確認してください。
税理士顧問に頼んだ場合
判断が必要な取引でも止まりません。ただし記帳が含まれるかは契約次第です。月3〜4万円の顧問料で「記帳は自社でやってください」という契約も多く、その場合は入力の負担が社内に残ります。
費用の比較で誤解しやすい点
| 見え方 | 実際 |
|---|---|
| 記帳代行 月5,500円は安い | 決算・申告が別途必要。顧問料の4〜6か月分が加算されるのが一般的 |
| 顧問料 月3万円は高い | 記帳が含まれていれば、記帳代行+決算料の合計より安いことがある |
| 経理代行 月10万円は高い | 正社員1名(月29万円)と比べれば安い。ただし税務判断は別 |
比べるなら年額の総額です。月額だけを並べると判断を誤ります。
どれを選ぶか
| 状況 | 向いている形 |
|---|---|
| 社内に経理の判断ができる人がいる | 記帳代行+決算だけ税理士 |
| 請求・支払・給与も回らない | 経理代行+税理士顧問 |
| 判断で止まりたくない・一本化したい | 税理士顧問(記帳込み) |
| 社長1人で全部やっている | 税理士顧問(記帳込み)が最も工数が減る |
| 取引が少なく、判断も単純 | 記帳代行だけで足りることもある |
見積りを取るときの共通の確認事項
- 税理士が関与するか — 判断が必要なとき誰が決めるか。
- 決算・申告は含まれるか — 含まれないなら年額いくらか。
- 月額に含まれる仕訳件数 — 超えたときの追加単価。
- 証憑の渡し方 — 紙かデータか。郵送費や回収の手間も費用です。
- 会計ソフト — いま使っているものに対応するか。乗り換えが必要なら移行コストがかかります。
確認項目の全体は記帳代行の見積りで必ず確認する8項目に、頼み方の選択肢は依頼のしかたにまとめています。仕訳件数から費用を試算すると、記帳のみと決算込みの両方の金額が出ます。
この記事に関するよくある質問
記帳代行と経理代行はどう違いますか?
記帳代行は仕訳の入力と証憑の整理まで、経理代行はそこに請求書の発行・入金消込・支払データの作成・給与計算が加わります。ただし、どちらも税務相談・決算書や申告書の作成・税務調査の立会いはできません。これらは税理士の独占業務です。
記帳代行に頼むと、実務では何が起きますか?
入力は進みますが、判断が必要な取引で止まります。「この10万円のパソコンは費用か資産か」といった質問に業者は答えられません(答えれば税理士法違反です)。結果として判断が保留のまま溜まり、決算時にまとめて確認することになります。
月5,500円の記帳代行と月3万円の顧問料、どちらが安いですか?
年額の総額で比べる必要があります。記帳代行5,500円は決算・申告が別途で、一般に顧問料の4〜6か月分が加算されます。顧問料3万円に記帳が含まれていれば、合計では顧問のほうが安くなることがあります。月額だけを並べると判断を誤ります。