判断の材料 ・ 約7分

記帳代行と経理代行と税理士顧問の違い

3つの違いは業務範囲の広さではなく「税務判断が含まれるか」です。記帳代行と経理代行は業者だけでは「この支出は経費か」に答えられません。実務で作業が止まるか止まらないかが最大の違いです。

まず結論

3つの違いは「範囲」ではなく「税務判断が含まれるか」です

記帳代行は入力だけ、経理代行は入力+周辺業務(請求・支払・給与)、税理士顧問は税務判断と申告まで。多くの説明が「業務範囲の広さ」で比べますが、実務で決定的なのは税務の判断が含まれるかどうかです。記帳代行と経理代行は、業者だけでは「この支出は経費か」に答えられません。ここで作業が止まるか止まらないかが、最大の違いです。

3つを並べる

項目記帳代行経理代行税理士顧問
仕訳の入力○(含む契約なら)
証憑の整理
請求書の発行・入金消込×△(事務所による)
支払データの作成×
給与計算×
月次資料の作成
税務相談××
決算書・申告書の作成××
税務調査の立会い××
費用の目安月5,500円〜/1仕訳50〜100円月5〜20万円月3〜6万円+決算料
下3行が資格の線です。 税務相談・税務書類の作成・税務代理は税理士の独占業務で、無資格の業者は行えません(税理士法2条・52条)。詳しくは記帳代行は税理士法違反になるのか

実務で何が起きるか

記帳代行に頼んだ場合

入力は進みますが、判断が必要な取引で止まります。「この10万円のパソコンは費用ですか資産ですか」「この飲食代は会議費ですか交際費ですか」——業者は答えられません(答えたら税理士法違反です)。

結果として、判断が必要な取引が保留のまま溜まり、決算のときにまとめて確認することになります。費用は安いですが、判断の負担は社内に残ります。

経理代行に頼んだ場合

請求・支払・給与まで含めて手が空きます。ただし税務判断は同じく含まれません。決算・申告は別途、税理士に依頼する必要があります。

費用が月5〜20万円と幅があるのは、業務範囲の差です。「どこまで含むか」を書面で確認してください。

税理士顧問に頼んだ場合

判断が必要な取引でも止まりません。ただし記帳が含まれるかは契約次第です。月3〜4万円の顧問料で「記帳は自社でやってください」という契約も多く、その場合は入力の負担が社内に残ります。

費用の比較で誤解しやすい点

見え方実際
記帳代行 月5,500円は安い決算・申告が別途必要。顧問料の4〜6か月分が加算されるのが一般的
顧問料 月3万円は高い記帳が含まれていれば、記帳代行+決算料の合計より安いことがある
経理代行 月10万円は高い正社員1名(月29万円)と比べれば安い。ただし税務判断は別

比べるなら年額の総額です。月額だけを並べると判断を誤ります。

どれを選ぶか

状況向いている形
社内に経理の判断ができる人がいる記帳代行+決算だけ税理士
請求・支払・給与も回らない経理代行+税理士顧問
判断で止まりたくない・一本化したい税理士顧問(記帳込み)
社長1人で全部やっている税理士顧問(記帳込み)が最も工数が減る
取引が少なく、判断も単純記帳代行だけで足りることもある

見積りを取るときの共通の確認事項

  1. 税理士が関与するか — 判断が必要なとき誰が決めるか。
  2. 決算・申告は含まれるか — 含まれないなら年額いくらか。
  3. 月額に含まれる仕訳件数 — 超えたときの追加単価。
  4. 証憑の渡し方 — 紙かデータか。郵送費や回収の手間も費用です。
  5. 会計ソフト — いま使っているものに対応するか。乗り換えが必要なら移行コストがかかります。

確認項目の全体は記帳代行の見積りで必ず確認する8項目に、頼み方の選択肢は依頼のしかたにまとめています。仕訳件数から費用を試算すると、記帳のみと決算込みの両方の金額が出ます。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

記帳代行と経理代行はどう違いますか?

記帳代行は仕訳の入力と証憑の整理まで、経理代行はそこに請求書の発行・入金消込・支払データの作成・給与計算が加わります。ただし、どちらも税務相談・決算書や申告書の作成・税務調査の立会いはできません。これらは税理士の独占業務です。

記帳代行に頼むと、実務では何が起きますか?

入力は進みますが、判断が必要な取引で止まります。「この10万円のパソコンは費用か資産か」といった質問に業者は答えられません(答えれば税理士法違反です)。結果として判断が保留のまま溜まり、決算時にまとめて確認することになります。

月5,500円の記帳代行と月3万円の顧問料、どちらが安いですか?

年額の総額で比べる必要があります。記帳代行5,500円は決算・申告が別途で、一般に顧問料の4〜6か月分が加算されます。顧問料3万円に記帳が含まれていれば、合計では顧問のほうが安くなることがあります。月額だけを並べると判断を誤ります。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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