記帳代行の見積りで必ず確認する8項目
「月額○円〜」だけでは比べられません。何が含まれ、何が別料金か。年間の総額はいくらか。見積りを受け取ったときに確認すべき8項目をまとめました。
比べるのは月額ではなく、年間の総額と「含まれていないもの」
記帳代行の見積りは、月額だけを並べても比較になりません。安く見える見積りは、決算・申告が別料金であるか、税務の判断が含まれていないことがほとんどです。確認すべきは①年間の総額 ②税務判断の有無 ③件数超過時の扱いの3点。以下の8項目を聞けば、見積りの意味が正確に分かります。
1. 「月額○円〜」の「〜」は何で変わるのか
ほぼすべての見積りに「〜」が付いています。これが何で変動するのかを必ず聞いてください。通常は月間の仕訳件数です。「何件までがこの金額か」を明示してもらいます。
あわせて、自社の仕訳件数の目安も把握しておきます。通帳の入出金・カード明細の行数・領収書の枚数を合計したものが、おおよその件数です。
2. 決算・申告は含まれているか
ここが総額を最も左右します。記帳のみの契約では、決算・申告が別料金になるのが一般的で、顧問料の4〜6か月分程度が加算されます。
| 契約の形 | 月額 | 決算・申告 | 年間の目安 |
|---|---|---|---|
| 記帳のみ | 5,500円〜 | 別料金 | 約7万〜25万円+決算費用 |
| 記帳+決算込み | 30,000円〜 | 含む | 約36万円〜 |
月額だけを見ると前者が安く見えますが、決算費用を加えると差は縮まります。年間の総額で並べてください。
3. 税務の判断は含まれているか
記帳をしていると、必ず判断が必要な取引が出てきます。「この支出は経費にできるか」「消費税は課税か非課税か」「これは外注費か給与か」——これらは税務相談にあたるため、税理士でなければ答えられません(税理士法第2条)。
無資格の代行業者に依頼する場合、これらの質問には答えてもらえません。判断が保留のまま入力だけ進み、決算時にまとめて確認することになります。詳しくは記帳代行は税理士法違反になるのかで整理しています。
4. いまの会計ソフトのまま対応できるか
「対応していないので乗り換えてください」と言われるケースがあります。移行には費用と時間がかかり、過去データの扱いでつまずくこともあります。
弥生会計・マネーフォワードクラウド・JDL・勘定奉行など、現在お使いのソフトのまま進められるかを最初に確認してください。取込用のデータ形式に変換する方法であれば、ソフトを変えずに対応できます。
5. 想定件数を超えたらどうなるか
事業が伸びれば仕訳件数も増えます。超過分の扱いを先に決めておかないと、ある月から急に請求額が変わることになります。
- 何件までが基本料金に含まれるか
- 超過分は1仕訳いくらか
- 何件を超えたらプラン変更になるか
6. 証憑の渡し方は何が想定されているか
PDFやデータで送る前提か、紙の原本を郵送する前提かで、こちらの手間も先方の工数も変わります。
- PDF・写真で送る——最も手間が少ない。スマホ撮影で足りる場合が多い
- クラウドストレージ共有——毎月の作業が定型化しやすい
- 紙の原本を郵送——原本の管理と返却の取り決めが必要
7. 月次の報告は何がいつ出るか
記帳が終わっても、数字が見られなければ意味がありません。
- 月次試算表が出るか。締めてから何日後か
- 前年同月との比較が付くか
- 質問したいときの窓口と、返答までの目安
「翌月末までに試算表」では、経営判断には遅すぎることがあります。何日後に出るかを具体的に聞いてください。
8. 責任は誰が負うか
仕訳の内容に誤りがあった場合、税務調査で指摘を受けた場合、誰が対応するのか。
入力だけを請ける契約では、内容の責任は依頼した側に残ります。税理士に依頼した場合は、記帳内容の最終確認と税務判断、調査対応まで税理士が責任を負います。ここは金額の差として現れる部分でもあるので、契約前に必ず確認してください。
チェックリスト
| # | 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| 1 | 金額の変動要因 | 「何件までがこの金額ですか」 |
| 2 | 決算・申告の有無 | 「決算と申告は含まれますか。別なら年間でいくらですか」 |
| 3 | 税務判断の有無 | 「経費になるか迷う取引は、誰が判断しますか」 |
| 4 | 会計ソフト | 「いま使っている◯◯のままで頼めますか」 |
| 5 | 件数超過 | 「件数が増えたらどうなりますか」 |
| 6 | 証憑の渡し方 | 「PDFで送る形でよいですか」 |
| 7 | 月次報告 | 「試算表は締めてから何日後に出ますか」 |
| 8 | 責任の所在 | 「税務調査で指摘があったとき、どこまで対応いただけますか」 |
まとめ
見積りの金額差は、多くの場合「何が含まれていないか」の差です。月額を並べるだけでは判断できません。年間の総額、税務判断の有無、責任の所在——この3つを揃えて比べれば、どれが自社に合うかは自然に見えてきます。依頼先のタイプ別の違いは記帳代行の選び方にまとめました。