決算申告の期限に間に合わないときにやること
法人税の申告・納付は決算日の翌日から2か月以内。間に合わないときに効くのは「概算でも先に納付する」ことです。延滞税・無申告加算税・青色申告の取消しリスクと、申告期限の延長制度の正確な使い方を整理しました。
申告が間に合わないなら、まず納付だけでも先に済ませます
法人税の申告・納付は決算日の翌日から2か月以内です。間に合わないとき、実害が大きいのは申告の遅れそのものより延滞税と、青色申告が取り消されるリスクです。概算でも先に納付しておけば延滞税は止まります。申告期限の延長は「申告」だけの制度で、納付は延長されない点に注意してください。
期限を過ぎるとどうなるか
| 起きること | 内容 |
|---|---|
| 無申告加算税 | 期限後に申告した場合に課されます。税務調査の通知前に自主的に申告すれば軽減され、調査で指摘されてからだと重くなります。自分から出すかどうかで負担が変わります |
| 延滞税 | 納付が遅れた日数に応じて発生します。申告が遅れても、納付が済んでいれば延滞税は増えません |
| 青色申告の取消し | 2事業年度連続で期限内に申告しなかった場合、承認が取り消されることがあります。欠損金の繰越控除が使えなくなるため、影響は加算税より大きくなります |
| 金融機関の評価 | 決算書が出せないと融資の審査が止まります。既存の借入がある場合、報告義務に抵触することもあります |
いま何日残っているかで打ち手が変わります
残り2週間以上ある場合:通常どおり間に合わせる
記帳が遅れているだけなら、まだ通常の申告が可能です。優先順位は①現預金 ②売掛金・買掛金 ③在庫 ④その他です。損益に直結する科目から固めます。手順は記帳が数か月遅れているときの取り戻し方にまとめています。
残り1週間を切った場合:概算納付を先に行う
申告書の完成を待たずに、おおよその税額を先に納付します。前期の税額や、直近の試算表から推計します。
- 納付書は税務署でもらえます(電子納税も可能)。
- 多めに納めた分は、申告後に還付されます。不足するより多めに入れておくほうが安全です。
- 納付した時点で、その分の延滞税は止まります。
期限を過ぎてしまった場合:できるだけ早く自主的に申告する
税務調査の通知を受ける前に自分から申告すれば、無申告加算税は軽減されます。放置して指摘されるのが最も重くなります。
申告期限の延長という制度もあります
「申告期限の延長の特例」を受けると、法人税の申告期限を原則1か月延ばせます。ただし条件と注意点があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 定款の定めなどにより、決算日から2か月以内に株主総会が開催されない法人 |
| 手続き | 適用を受けたい事業年度終了の日までに「申告期限の延長の特例の申請書」を提出。事後の申請はできません |
| 延長されるもの | 申告書の提出期限 |
| 延長されないもの | 納付期限。2か月以内に納付しないと、延長期間中も利子税がかかります |
| 消費税 | 法人税の延長とは別の制度です。消費税の申告期限の延長には別途の届出が必要で、延長は1か月です |
つまり延長を受けていても、決算日から2か月以内に見込み額を納付するという点は変わりません。今期に間に合わせるための制度ではなく、来期以降のための備えです。
間に合わない原因は、ほぼ「記帳の遅れ」です
決算作業そのものは、記帳が終わっていれば数日で片付きます。間に合わないのは、決算月になってから1年分の入力を始めるからです。
毎月記帳が回っていれば、決算月にやることは棚卸・減価償却・未払計上などの決算整理だけになります。この形を作るには、入力を社内に抱えないことが近道です。経理1名の実質コストは月およそ29万円ですが、記帳の外注は仕訳件数によっては月数万円で回ります。仕訳件数から費用を試算できます。
来期に向けては決算3か月前にやることを参考にしてください。3か月前に着地見込みを出せていれば、期限に追われることはなくなります。
この記事に関するよくある質問
申告書ができていなくても納付だけ先にできますか?
できます。納付は申告と切り離して行えます。前期の税額や直近の試算表から概算で納付すれば、その分の延滞税は止まります。多めに納めた分は申告後に還付されるため、不足するより多めに入れるほうが安全です。
申告期限の延長を使えば納付も遅らせられますか?
できません。延長されるのは申告書の提出期限だけで、納付期限は決算日から2か月のままです。延長期間中に納付すると利子税がかかります。また申請は事業年度終了の日までに提出する必要があり、事後申請はできません。
期限を過ぎてしまった場合はどうすればいいですか?
できるだけ早く自主的に申告してください。税務調査の通知を受ける前に自分から申告すれば無申告加算税は軽減されます。放置して指摘されるのが最も重くなります。また2事業年度連続で期限内申告をしないと青色申告の承認が取り消されることがあります。