判断の材料 ・ 約6分

経理の求人を出す前に確認する3つのこと

経理1名の実質コストは月およそ29万円、年間で約348万円。募集をかける前に「専任が必要か」「実額でいくらか」「辞めたら何が止まるか」を確認しておくと、採用しても外注しても納得のいく判断ができます。

まず結論

求人を出す前に、3つだけ確認してください

経理の求人を出す判断は、①その業務量に経理専任が必要か ②実額でいくらかかるか ③辞めたときに何が止まるか——この3つを確認してからで遅くありません。経理1名の実質コストは月およそ29万円。年間で約348万円です。募集をかけてから「応募が来ない」「採用したがすぐ辞めた」となる前に、そもそも雇う必要があるかを見極めておくと、選択肢が広がります。

確認1:その業務量に、経理専任が必要か

まず、いま経理にかかっている実作業を分解してみてください。多くの会社で、経理と呼ばれている業務は次のように分かれています。

業務性質外に出せるか
証憑の整理単純作業。件数に比例出せる
仕訳の入力単純作業。件数に比例出せる
月次の集計・試算表定型。仕組みで回る出せる
請求書の発行取引先との関係がある社内に残る
入金の確認・督促取引先との関係がある社内に残る
現金の管理日々発生する業種のみ社内に残る
数字を見て判断する経営そのもの社内に残る

外に出せる部分だけで1日が埋まっているなら、それは「人を雇う理由」ではなく「作業を外に出す理由」です。逆に、請求・入金・現金管理が業務の中心なら、社内に人がいたほうが回ります。

確認2:実額でいくらかかるか

求人票に書く給与額と、実際に会社から出ていく金額は違います。

項目月額備考
給与220,000円求人票に書く金額
賞与37,000円年2か月分を月換算
社会保険料(会社負担)33,000円健康保険・厚生年金・雇用保険等
実質コスト290,000円年間 約348万円
求人広告費都度応募が来なければ複数回
教育・引き継ぎ社長や既存社員の時間

記帳から決算・申告まで外注した場合は月3万円程度から、年間で約36万円です。差額は年間で約312万円。詳しい内訳は経理を1名雇うコストと外注の比較にまとめています。

確認3:辞めたときに何が止まるか

採用の判断で見落とされやすいのが、退職したときのリスクです。経理は属人化しやすく、手順が担当者の頭の中にしかないことが少なくありません。

  • 会計ソフトのログイン情報が担当者しか知らない
  • どこまで処理が終わっているか誰も分からない
  • 去年と同じ処理をしようにも、なぜそう処理したのか記録がない
  • 後任を採用しても、引き継ぐ相手がいない

この状態で退職されると、後任を採用しても数か月は月次が止まります。具体的な復旧手順は経理担当者が辞めた直後の7日間にやることにまとめました。

外注なら退職がありません。処理の手順が社外の仕組みとして残るため、社内の人が変わっても止まりません。社内に必要なのは「証憑を集めて送る」ことだけになります。

それでも採用したほうがよい場合

外注が常に正解ではありません。次のような場合は、社内に人を置く判断に合理性があります。

  • 現金取引が多い——日々の現金出納は社内でしか回せません。
  • 請求・入金の管理が業務の中心——取引先との関係があるため、社内対応が向きます。
  • 経理のノウハウを社内に蓄積したい——将来的に経理部門を作る方針であれば、早めに人を育てる意味があります。
  • 他の管理業務と兼務させたい——総務・労務とまとめて1名、という設計なら成立します。

判断の順番

  1. いまの業務を分解する——外に出せる部分と、社内に残る部分を分ける
  2. 外に出せる部分の量を把握する——月間の仕訳件数がおおよそ分かれば、外注の概算が出ます
  3. 実額で比べる——月29万円(+採用費・教育時間)と、外注の月額を並べる
  4. 社内に何を残すかを決める——金額だけでなく、退職リスクと引き継ぎの重さを含めて判断する

この4つを踏んだうえで「やはり採用が必要」となれば、それは根拠のある判断です。求人を出してから考えるより、出す前に整理したほうが、採用しても外注しても納得のいく結果になります。


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