経理の求人を出す前に確認する3つのこと
経理1名の実質コストは月およそ29万円、年間で約348万円。募集をかける前に「専任が必要か」「実額でいくらか」「辞めたら何が止まるか」を確認しておくと、採用しても外注しても納得のいく判断ができます。
求人を出す前に、3つだけ確認してください
経理の求人を出す判断は、①その業務量に経理専任が必要か ②実額でいくらかかるか ③辞めたときに何が止まるか——この3つを確認してからで遅くありません。経理1名の実質コストは月およそ29万円。年間で約348万円です。募集をかけてから「応募が来ない」「採用したがすぐ辞めた」となる前に、そもそも雇う必要があるかを見極めておくと、選択肢が広がります。
確認1:その業務量に、経理専任が必要か
まず、いま経理にかかっている実作業を分解してみてください。多くの会社で、経理と呼ばれている業務は次のように分かれています。
| 業務 | 性質 | 外に出せるか |
|---|---|---|
| 証憑の整理 | 単純作業。件数に比例 | 出せる |
| 仕訳の入力 | 単純作業。件数に比例 | 出せる |
| 月次の集計・試算表 | 定型。仕組みで回る | 出せる |
| 請求書の発行 | 取引先との関係がある | 社内に残る |
| 入金の確認・督促 | 取引先との関係がある | 社内に残る |
| 現金の管理 | 日々発生する業種のみ | 社内に残る |
| 数字を見て判断する | 経営そのもの | 社内に残る |
外に出せる部分だけで1日が埋まっているなら、それは「人を雇う理由」ではなく「作業を外に出す理由」です。逆に、請求・入金・現金管理が業務の中心なら、社内に人がいたほうが回ります。
確認2:実額でいくらかかるか
求人票に書く給与額と、実際に会社から出ていく金額は違います。
| 項目 | 月額 | 備考 |
|---|---|---|
| 給与 | 220,000円 | 求人票に書く金額 |
| 賞与 | 37,000円 | 年2か月分を月換算 |
| 社会保険料(会社負担) | 33,000円 | 健康保険・厚生年金・雇用保険等 |
| 実質コスト | 290,000円 | 年間 約348万円 |
| 求人広告費 | 都度 | 応募が来なければ複数回 |
| 教育・引き継ぎ | — | 社長や既存社員の時間 |
記帳から決算・申告まで外注した場合は月3万円程度から、年間で約36万円です。差額は年間で約312万円。詳しい内訳は経理を1名雇うコストと外注の比較にまとめています。
確認3:辞めたときに何が止まるか
採用の判断で見落とされやすいのが、退職したときのリスクです。経理は属人化しやすく、手順が担当者の頭の中にしかないことが少なくありません。
- 会計ソフトのログイン情報が担当者しか知らない
- どこまで処理が終わっているか誰も分からない
- 去年と同じ処理をしようにも、なぜそう処理したのか記録がない
- 後任を採用しても、引き継ぐ相手がいない
この状態で退職されると、後任を採用しても数か月は月次が止まります。具体的な復旧手順は経理担当者が辞めた直後の7日間にやることにまとめました。
それでも採用したほうがよい場合
外注が常に正解ではありません。次のような場合は、社内に人を置く判断に合理性があります。
- 現金取引が多い——日々の現金出納は社内でしか回せません。
- 請求・入金の管理が業務の中心——取引先との関係があるため、社内対応が向きます。
- 経理のノウハウを社内に蓄積したい——将来的に経理部門を作る方針であれば、早めに人を育てる意味があります。
- 他の管理業務と兼務させたい——総務・労務とまとめて1名、という設計なら成立します。
判断の順番
- いまの業務を分解する——外に出せる部分と、社内に残る部分を分ける
- 外に出せる部分の量を把握する——月間の仕訳件数がおおよそ分かれば、外注の概算が出ます
- 実額で比べる——月29万円(+採用費・教育時間)と、外注の月額を並べる
- 社内に何を残すかを決める——金額だけでなく、退職リスクと引き継ぎの重さを含めて判断する
この4つを踏んだうえで「やはり採用が必要」となれば、それは根拠のある判断です。求人を出してから考えるより、出す前に整理したほうが、採用しても外注しても納得のいく結果になります。