判断の材料 ・ 約6分

経理をパートで雇う場合の実質コスト

時給1,200円×週20時間なら月約13万円ですが、社会保険に加入すると月約15万円になります。採用費・教育時間・繁閑調整ができないことを含めた実額と、パートと外注を組み合わせる形を示しました。

まず結論

時給1,200円×週20時間なら月約13万円。ただし社保に入ると月約15万円になります

パートは正社員より安いのは確かですが、社会保険の加入要件を満たすと会社負担が加わり、1〜2割増える点が見落とされます。さらに採用費・教育の時間・繁閑の調整ができないことを含めると、記帳の外注(仕訳件数によっては月1〜3万円台)との差はかなり大きくなります。

実質コストの内訳

項目社保なし社保あり
時給1,200円 × 週20時間(月約87時間)約104,000円約104,000円
社会保険料の会社負担(約15%)約15,600円
労働保険料(会社負担)約1,000円約1,000円
通勤手当約10,000円約10,000円
月額合計約115,000円約131,000円
年額約138万円約157万円

時給と労働時間は地域・職種で変わります。自社の条件で計算し直してください。ここで示したいのは「時給×時間」だけでは実額にならないという点です。

社会保険の加入要件

週の所定労働時間が正社員の4分の3以上であれば加入対象です。それ未満でも、一定の企業規模・労働時間・賃金・勤務期間・学生でないことの要件を満たすと加入対象になります(適用範囲は段階的に拡大されてきました)。

「扶養の範囲で」という希望と、必要な労働時間が衝突することがあります。 経理は月末月初に業務が集中するため、その時期だけ時間を増やしたいのに、本人は年収の上限を超えたくない——この調整で毎年苦労する会社は少なくありません。

金額に表れないコスト

項目実際にかかるもの
採用費求人広告費(無料〜30万円)。応募の選考・面接の時間
教育自社の処理を教える時間。経理は最低でも1年分を回さないと独り立ちできません
設備PC、会計ソフトのライセンス、机
繁閑の調整暇な月も給与は発生する。忙しい月は残業
属人化1人しかいないと、休まれた月は止まる(経理が1人しかいない会社が休職・退職に備える方法
判断できない税務の判断は結局、社長か税理士がすることになる
退職リスク辞められると振り出しに戻る。採用費と教育時間が再度かかる

外注と比べる

パート(社保あり)記帳の外注
年額約157万円十数万〜数十万円(件数による)
できること経理以外の事務も頼める契約した範囲のみ
指揮命令できるできない(偽装請負になる)
急な依頼対応しやすい契約外は追加
繁閑の調整できない件数に応じて変動
休職・退職止まる止まらない
税務の判断できない税理士が関与すれば可

パートが向いているケース

  • 経理以外の事務もある — 電話対応、来客、備品管理、書類の郵送など。経理だけなら外注のほうが安く済みます。
  • 現金を扱う — 店舗のレジ締め、小口現金の管理。物理的に人が必要です。
  • 紙の書類が多く、社内で処理する必要がある
  • すでに信頼できる人がいる — 採用コストと教育コストが発生しない。

組み合わせるという選択

「パートか外注か」ではなく、両方を使う形が現実的です。

担当業務
パート(週2〜3日)請求書の発行、入金確認、証憑の整理、電話・来客対応、その他の事務
外注仕訳の入力、月次資料の作成、決算・申告

この形なら、パートの労働時間を減らせるうえ、その人が休んでも記帳は止まりません。属人化も避けられます。

判断の順序

  1. 経理として発生している業務を書き出す
  2. 「手を動かすだけ」と「判断が要る」に分ける(無資格者ができる経理業務・できない業務
  3. 外に出せる分の量(月間の仕訳件数)を測る
  4. 残る業務に必要な時間を見積もる
  5. その時間が週10時間未満なら、パートを雇わずに済む可能性があります

仕訳件数から外注費用と雇用コストを比較できます。3つの形態の総額比較は経理を雇う・派遣・外注の総額比較に。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

経理のパートを雇うと実際いくらかかりますか?

時給1,200円×週20時間(月約87時間)で約104,000円。ここに労働保険料と通勤手当が加わり月約11.5万円、社会保険に加入する場合は会社負担(約15%)が加わって月約13万円になります。年額では138〜157万円です。

パートと外注はどう使い分けますか?

経理以外の事務もある、現金を扱う、紙の書類を社内で処理する必要がある場合はパートが向いています。経理だけなら外注のほうが安く済みます。組み合わせて、パートに請求書発行・入金確認・証憑整理を、外注に仕訳入力と決算を任せる形が現実的です。

扶養の範囲で働きたいという希望と業務量が合いません。

経理は月末月初に業務が集中するため、その時期だけ時間を増やしたいのに本人は年収の上限を超えたくない、という衝突が起きます。入力を外に出して社内に残る業務を減らすと、この調整が不要になります。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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