AIツールの利用料の勘定科目
月額利用料に専用の科目はなく、通信費・支払手数料・消耗品費などが使われます。どれが正解ということはなく継続が重要です。海外事業者への支払は消費税の扱いに注意が必要です。
月額利用料は「通信費」または「支払手数料」。迷ったら継続して同じ科目を使います
ChatGPTやClaudeなどAIツールの月額利用料に、専用の勘定科目はありません。実務では通信費・支払手数料・消耗品費・研究開発費のいずれかが使われます。どれが正解ということはなく、継続して同じ科目を使うことが重要です。ただし海外のサービスに支払う場合、消費税の扱いに注意が必要です。
使われる科目
| 科目 | 考え方 |
|---|---|
| 通信費 | オンラインサービスの利用料として。他のSaaSと揃えやすい |
| 支払手数料 | サービスの対価として |
| 消耗品費 | 少額のツール類としてまとめる場合 |
| 研究開発費 | 新技術の検証目的が明確な場合 |
| 外注費 | 不適切。人への委託ではありません |
消費税の扱いが論点です
AIツールの多くは海外事業者が提供しています。この場合、電気通信利用役務の提供にあたり、消費税の扱いが国内サービスと変わります。
| 区分 | 扱い |
|---|---|
| 国内事業者からの購入 | 通常の課税仕入れ |
| 海外事業者・事業者向け | リバースチャージ方式の対象になることがある |
| 海外事業者・消費者向け | 登録国外事業者からの購入なら仕入税額控除の対象 |
請求書に消費税が明示されているかを確認してください。海外事業者への支払で消費税が課されていない場合、単純に課税仕入れとして処理すると誤りになる可能性があります。判断に迷う場合は税理士に確認してください。
金額が大きい場合の注意
- 年額一括払い — 期をまたぐ分は前払費用。ただし短期前払費用の特例が使える場合があります
- 買い切りのソフトウェア — 10万円以上なら無形固定資産として資産計上(ソフトウェアの購入)
- API利用料(従量課金) — 使った月の費用。金額が変動するため、月次で確認する
- 複数人分のライセンス — 人数分をまとめて1つの科目で処理して構いません
私的利用が混ざる場合
個人事業主や、社長が個人的にも使っている場合は按分が必要です。
- 業務での使用割合を合理的な基準で決める
- 基準を決めて継続することが重要
- 従業員に貸与している場合、業務専用なら按分は不要
経費にできるかどうか
業務に使っていれば経費になります。AIツールだからといって特別な制限はありません。
- 資料作成、文章の作成、翻訳、プログラミング支援——いずれも業務利用
- 学習・検証目的でも、業務に関連していれば経費
- 個人の趣味での利用は経費になりません
記帳への影響
AIツールの導入で記帳の入力量が減ることがありますが、その費用自体の処理は単純な月額サービスと同じです。
むしろ実務で気をつけるのは、会計データをAIに入力する際のセキュリティです(会計データをAIに渡すときのセキュリティ)。取引先名や金額をそのまま貼り付けると、情報が外部に送信されます。
また、AIに税務の判断を求めるのは危険です。もっともらしく誤った回答をすることがあり、専門知識がないと見分けられません(ChatGPTに経理を任せてはいけない理由)。
科目を決めたら記録に残す
「AIツールは通信費」と決めたら、それを社内の記録に残してください。担当者が代わったときに別の科目で処理されると、期間比較ができなくなります。
迷いやすい支出の処理ルールをまとめておく方法は経理業務マニュアルの作り方に。100件の判断基準は勘定科目の判断辞典にまとめています。
この記事に関するよくある質問
ChatGPTなどAIツールの利用料はどの勘定科目ですか?
専用の科目はありません。通信費、支払手数料、消耗品費、研究開発費のいずれかが使われます。すでに他のクラウドサービス(Zoom・Slack・会計ソフトなど)を何かの科目にしているなら、それに合わせてください。統一されていることのほうが科目名の正しさより実務上の価値があります。
海外のAIサービスへの支払で気をつけることは?
消費税の扱いです。海外事業者が提供するサービスは電気通信利用役務の提供にあたり、事業者向けの場合はリバースチャージ方式の対象になることがあります。請求書に消費税が明示されているか確認し、単純に課税仕入れとして処理してよいかを判断してください。
個人的にも使っている場合はどうしますか?
業務での使用割合を合理的な基準で決めて按分します。基準を決めて継続することが重要です。従業員に業務専用で貸与している場合は按分不要です。