判断の材料 ・ 約7分

税理士との契約を解除するときの引き継ぎ

会計データと申告書の控えは会社のものです。返してもらうべき書類の一覧、切り替えるタイミング、データが出てこない場合の実務的な対応、費用の精算まで。不満の中身によっては税理士を変えない選択もあります。

まず結論

会計データと申告書の控えは、会社のものです。必ず返してもらってください

税理士を変えるとき、実務で問題になるのはデータがそのまま出てこないことです。決算書・申告書の控え・総勘定元帳・固定資産台帳は、会社の帳簿として会社が保存すべきものですから、返却を求めて構いません。タイミングは決算・申告が終わった直後が最も揉めにくく、期の途中で切り替えると引き継ぎの手間と費用が増えます。

いつ切り替えるのがよいか

タイミング評価理由
決算・申告が終わった直後最適1期分が完結している。新しい税理士は期首から見られる
期の途中(月次が終わった月末)可能だが、期中の処理方針を引き継ぐ手間がかかる
決算作業の最中避ける作業が中断し、決算が間に合わなくなるリスクがある
税務調査の最中避ける経緯を知る人がいなくなる。調査が終わってからにする

返してもらうもの

次の書類は会社の帳簿書類です。保存義務は会社にあります(原則7年、欠損金が生じた事業年度は10年)。

区分具体的なもの
決算・申告決算書、法人税・消費税・地方税の申告書の控え、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書、受信通知(e-Taxのメール詳細)
帳簿総勘定元帳、仕訳日記帳、補助元帳
資産固定資産台帳、繰延資産の明細
税務上の記録欠損金の繰越額の明細、各種届出書の控え(青色申告承認、消費税の課税事業者選択・簡易課税の届出など)
会計データ会計ソフトのバックアップファイル(可能なら)
預けた原本領収書・請求書・通帳のコピーなど、預けている証憑
特に見落とされるのが「届出書の控え」です。 消費税の簡易課税を選択しているか、青色申告の承認を受けているかは、届出の有無で決まります。控えが無いと新しい税理士が判断できず、税務署に確認する手間が発生します。

会計データが出てこない場合

会計ソフトのデータそのものは、税理士事務所が自社のソフトで作成したものであるため、必ずしも同じ形式で渡す義務があるとは限りません。実務上の対応は次のとおりです。

  • PDFや紙で受け取る — 総勘定元帳と決算書があれば、新しい税理士は期首残高を作れます。これで実務は回ります。
  • CSVで出力してもらう — 仕訳データをCSVで受け取れれば、多くの会計ソフトに取り込めます。
  • 自社でソフトを持つ — もともと自社名義で会計ソフトを契約していれば、この問題は起きません。次からはこの形にしておくのが確実です。

手順

  1. 次の税理士を先に決める — 空白期間を作らないためです。決めてから解約を伝えます。
  2. 契約書の解約条項を確認する — 予告期間(1〜3か月前など)や、年払いの場合の精算方法を確認します。
  3. 解約を伝える — 理由を詳しく説明する義務はありません。「社内の体制を見直すため」で十分です。相手を批判しないほうが、返却がスムーズです。
  4. 返却リストを渡す — 上の表をそのまま渡すと、行き違いが減ります。
  5. 受け取ったものを確認する — 年度ごとに揃っているか。抜けがあればその場で依頼します。
  6. 新しい税理士に引き継ぐ — 資料一式と、これまでの処理方針(継続している会計処理)を伝えます。

費用の精算

  • 顧問料 — 月額であれば解約月まで。年払いの場合は契約書の定めによります。
  • 決算料 — 決算・申告が完了していれば発生します。着手済みで完了していない場合は、契約書または協議によります。
  • 資料の返却費用 — 通常は発生しませんが、郵送費を求められることはあります。

変えるべきか迷っている場合

不満の中身によって、変えるべきかどうかは変わります。

不満考え方
連絡が返ってこない・訪問が無い契約内容と実態が合っていない可能性。まず希望を伝えてみる価値はある
料金が高い業務範囲との対応で判断する。記帳が含まれているかで金額の意味が変わる
節税の提案が無い顧問の範囲に含まれているか確認。含まれていないなら、そもそも契約の問題
記帳を自社でやるのが負担税理士を変えるより、記帳の入力だけを外に出すほうが早い場合がある
AI・クラウドに対応していない使いたいソフトへの対応可否を確認する。対応できないなら変更の理由になる

最後の行が実務ではよくあります。税理士との関係に不満はないが、記帳の入力が社内で回らないというケースです。この場合、契約を変えずに入力だけを外に出す方法があります。記帳だけ頼むという形です。判断材料は仕訳件数からの試算で確認できます。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

税理士を変えるとき、何を返してもらえばいいですか?

決算書、申告書の控え、勘定科目内訳明細書、総勘定元帳、固定資産台帳、欠損金の繰越額の明細、各種届出書の控え、預けている証憑です。特に届出書の控え(消費税の簡易課税選択、青色申告承認など)は見落とされやすく、無いと新しい税理士が判断できません。

切り替えるタイミングはいつがいいですか?

決算・申告が終わった直後が最適です。1期分が完結しているため、新しい税理士は期首から見られます。決算作業の最中や税務調査の最中は避けてください。作業が中断したり、経緯を知る人がいなくなったりします。

会計ソフトのデータを渡してもらえない場合は?

総勘定元帳と決算書をPDFや紙で受け取れれば、新しい税理士は期首残高を作れるため実務は回ります。仕訳データをCSVで出力してもらえれば多くのソフトに取り込めます。次からは自社名義で会計ソフトを契約しておくと、この問題は起きません。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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