判断の材料 ・ 約7分

融資の審査で見られる決算書のポイント

金融機関が見るのは返せるかどうかだけ。債務償還年数・自己資本比率・営業利益が中心で、月次試算表を出せるかで管理体制の評価が変わります。役員貸付金と仮払金は決算前に解消したい項目です。

まず結論

金融機関が見るのは「返せるか」だけ。決算書の見られ方は決まっています

審査で見られるのは①債務償還年数(借入をあと何年で返せるか) ②自己資本比率 ③営業利益が出ているかの3つが中心です。加えて月次試算表を出せるかどうかで、管理体制の評価が変わります。記帳が遅れて数字が出ない会社は、その時点で土俵に乗りません

審査で見られる主な指標

指標計算見られ方
債務償還年数有利子負債 ÷(営業利益+減価償却費)最重要。10年以内が一つの目安
自己資本比率純資産 ÷ 総資産高いほど安全。債務超過は致命的
営業利益本業の利益ここが赤字だと厳しい
経常利益営業利益+営業外損益2期連続赤字は説明が必要
現預金残高月商の何か月分あるか
債務償還年数が最も重視されます。 「いまの利益で、借入を何年で返せるか」という単純な指標です。10年を大きく超えると、新規の借入は難しくなります。逆にここが良ければ、多少の赤字でも話は進みます。

提出を求められる資料

資料備考
決算書 3期分貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書
申告書の控え 3期分税務署の受付印またはe-Taxの受信通知
試算表(直近月まで)これが出せるかが分かれ目
資金繰り表資金繰り表の作り方
借入金の一覧金融機関別の残高・返済予定
納税証明書滞納がないことの証明
事業計画書創業融資や大型の設備投資の場合

試算表が出せないと何が起きるか

「決算から半年経っているが、今どうなっているか分からない」という状態では、金融機関は判断できません。

  • 最新の数字が無い=リスクが読めない
  • 管理体制ができていないと評価される
  • 審査が止まる、または後回しにされる

月次で締まっていれば、いつ聞かれても出せます。これが融資の場面で記帳の体制が効いてくる理由です(月次決算を5営業日で締める手順)。

決算書で見られやすい項目

項目見られ方
役員貸付金強く嫌われます。会社の資金が社長に流れている=返済原資が減る
仮払金・仮受金内容不明の資産・負債。放置すると説明を求められます
売掛金の回収期間異常に長いと不良債権を疑われる
棚卸資産の増加売れていない在庫が積み上がっていないか
減価償却の実施償却不足は利益の水増しと見なされます
純資産債務超過は最も重い

役員貸付金と仮払金は、決算前に解消しておきたい項目です。「社長が個人的に使った分」がそのまま残っていると、審査で必ず指摘されます(事業用口座から生活費を引き出した)。

減価償却を「しない」という選択の代償

法人税法上、減価償却は任意(限度額まで自由に計上できる)です。利益を出すために償却を見送ることは可能です。

しかし金融機関は減価償却不足を把握し、利益を修正して評価します。「償却前提の利益」で見られるため、見送っても評価は上がりません。むしろ「利益を作りにいっている」と受け取られるリスクがあります。

創業融資の場合

実績がないため、見られる点が変わります。

  • 自己資金 — どれだけ準備したか。通帳で経緯を確認されます
  • 事業計画の具体性 — 売上の根拠、原価の積算
  • 経験 — その業種での経験年数
  • 信用情報 — 個人の借入・返済状況

創業期の経理の整え方は創業期の会社が経理をどう回すかにまとめています。設立直後から月次で締める体制を作っておくと、融資の相談がスムーズです。

借りる予定があるなら、今から

審査は過去3期分を見ます。今期だけ整えても間に合いません。

  1. 月次で締める体制を作る
  2. 役員貸付金・仮払金を解消する
  3. 減価償却を毎期きちんと計上する
  4. 試算表をいつでも出せる状態にする

これらは記帳が毎月回っていれば自動的に満たされます。社内で回らない場合の費用は仕訳件数から試算できます。


記帳・経理のご相談。 月間の仕訳件数・お使いの会計ソフト・業種をうかがえば、外注した場合の概算と、雇った場合との比較を無料でお出しします。 無料相談はこちら →
よくある質問

この記事に関するよくある質問

融資の審査で最も重視される指標は何ですか?

債務償還年数です。有利子負債÷(営業利益+減価償却費)で計算し、「いまの利益で借入を何年で返せるか」を見ます。10年以内が一つの目安で、大きく超えると新規の借入は難しくなります。逆にここが良ければ多少の赤字でも話は進みます。

試算表が出せないと不利ですか?

不利です。「決算から半年経っているが今どうなっているか分からない」状態では金融機関は判断できず、管理体制ができていないと評価されます。月次で締まっていればいつ聞かれても出せるため、ここが融資の場面で記帳の体制が効いてくる理由です。

決算書で嫌われる項目はありますか?

役員貸付金です。会社の資金が社長に流れている=返済原資が減ると見られ、審査で必ず指摘されます。内容不明の仮払金・仮受金も同様です。また減価償却の不足は利益の水増しと見なされ、金融機関は償却前提で利益を修正して評価します。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

月間の仕訳件数・使っている会計ソフト・業種をうかがい、外注した場合の概算と、いま雇っている(雇おうとしている)場合との比較を無料でお出しします。会計ソフトの乗り換えは必要ありません。無理な勧誘はいたしません。