実務の手順 ・ 約6分

資金繰り表の作り方

利益が出ていても現金が足りなくなるから作ります。最小構成は前月繰越・収入・支出・翌月繰越の4区分。損益計算書に出てこない「借入金の元本返済」と「税金の納付」を入れ忘れると意味がありません。

まず結論

利益が出ていても、現金が足りなくなるから作ります

損益計算書は発生した時点で売上と費用を計上しますが、実際の入金と出金は数か月ずれます。だから黒字でも資金が尽きます。資金繰り表は「いつ、いくら現金が動くか」だけを並べた表で、向こう6か月の残高が最低いくらまで落ちるかが分かれば十分です。凝った様式は要りません。

最小構成の作り方

Excelで1枚あれば足ります。列は月、行は次の項目です。

区分項目
①前月繰越月初の現預金残高
②収入売掛金の回収(売上ではなく入金
現金売上
その他(借入、補助金、保険金)
③支出仕入・外注の支払
人件費(給与・賞与・社会保険料)
固定費(家賃・リース・通信・水道光熱)
税金(法人税・消費税・中間納付)
借入金の返済(元本+利息)
設備投資
④翌月繰越① + ② − ③
太字の2項目が、損益計算書には出てこない支出です。 借入金の元本返済は費用ではないため利益には影響しませんが、現金は確実に出ていきます。税金も同様に、納付月に大きく資金が動きます。この2つを入れ忘れると、資金繰り表の意味がありません。

入金と支払のサイクルを確認する

まず自社の条件を書き出します。

  • 売上の回収条件 — 「月末締め翌月末入金」なら、3月の売上は4月末に入金
  • 仕入の支払条件 — 「月末締め翌月20日払い」など
  • 給与の支給日
  • 社会保険料の納付 — 翌月末
  • 源泉所得税 — 翌月10日(納期の特例なら7月・1月)
  • 借入の返済日

回収より支払が先に来る商売ほど、資金繰りが厳しくなります。建設業や製造業のように、材料費や人件費を先に払って入金が数か月後という構造では、売上が伸びるほど資金が必要になります。

年間で必ず入れる大きな支出

時期(3月決算の例)支出
5月末法人税・地方税・消費税の確定納付
6月・12月賞与
7月10日源泉所得税(納期の特例分)
8月・11月・2月消費税の中間(回数による)(中間申告・予定納税の時期と金額
11月末法人税の中間納付
翌1月20日源泉所得税(納期の特例分)
毎年固定資産税、自動車税、保険料の年払い、システムの年契約

5月末と11月末が資金の谷になる会社が多いのは、この納税があるためです。あらかじめ表に入れておけば、驚かずに済みます。

見るポイント

  1. 残高が最低いくらまで落ちるか — これが最重要。月商の1か月分を下回るなら要注意
  2. マイナスになる月があるか — あるなら、その2〜3か月前に手を打つ必要があります
  3. どの月に何が重なるか — 賞与と納税が同じ月に来ていないか

資金が足りなくなりそうなときの手

手段リードタイム
売掛金の回収を早める(前倒し請求・条件交渉)数週間
支払を遅らせる(取引先と交渉)数週間。信用に関わるため慎重に
金融機関に相談1〜2か月かかる。早めに動く
納税の猶予・換価の猶予申請が必要(消費税の申告を忘れていたときの対応
設備投資の延期即時

金融機関への相談は時間がかかります。資金繰り表があれば「3か月後に足りなくなる」と事前に分かるため、間に合います。無ければ、足りなくなった月に気づいて手遅れになります。

月次が回っていないと作れません

資金繰り表の出発点は現在の預金残高と売掛金・買掛金の残高です。記帳が数か月遅れていると、この数字が分かりません。

逆に、月次で締まっていれば試算表からほぼ自動的に作れます。月次決算の手順は月次決算を5営業日で締める手順に、記帳の体制づくりは仕訳件数からの試算でご確認いただけます。


記帳・経理のご相談。 月間の仕訳件数・お使いの会計ソフト・業種をうかがえば、外注した場合の概算と、雇った場合との比較を無料でお出しします。 無料相談はこちら →
よくある質問

この記事に関するよくある質問

資金繰り表には何を書けばいいですか?

前月繰越(月初の現預金)、収入(売掛金の回収・現金売上・借入)、支出(仕入・人件費・固定費・税金・借入返済・設備投資)、翌月繰越の4区分です。Excel1枚で足ります。向こう6か月の残高が最低いくらまで落ちるかが分かれば十分です。

損益計算書があれば資金繰り表は不要ですか?

必要です。損益計算書は発生時点で計上しますが、実際の入出金は数か月ずれます。特に借入金の元本返済は費用ではないため利益に影響しませんが現金は確実に出ていきます。税金の納付も同様で、この2つを入れないと資金繰り表の意味がありません。

資金が足りなくなりそうなときは?

金融機関への相談は1〜2か月かかるため、早めに動いてください。資金繰り表があれば「3か月後に足りなくなる」と事前に分かるので間に合います。ほかに売掛金の回収を早める、設備投資を延期する、納税の猶予を申請するといった手があります。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

月間の仕訳件数・使っている会計ソフト・業種をうかがい、外注した場合の概算と、いま雇っている(雇おうとしている)場合との比較を無料でお出しします。会計ソフトの乗り換えは必要ありません。無理な勧誘はいたしません。