実務の手順 ・ 約6分

年末調整の書類が期限までに集まらないとき

全員分が揃うのを待たず、提出済みの人から処理します。締切に出さない人は対象外にして本人の確定申告に回すのが正しい扱い。控除証明書の紛失、前職の源泉徴収票が出てこない場合の対応まで整理しました。

まず結論

全員分が揃うのを待たず、提出済みの人から処理してください

年末調整は全員をまとめて処理する必要はありません。締切までに出さない人は年末調整の対象外にして、本人の確定申告に回すのが正しい扱いです。会社が無理に待つと、12月給与での精算に間に合わず、源泉徴収票の交付も1月の法定調書の提出も連鎖して遅れます。待つほど損をするのは会社側です。

まず、動かせない期限を確認する

期限内容動かせるか
12月の給与支給日年末調整の過不足をここで精算する動かせない
翌1月10日源泉所得税の納付(納期の特例なら1月20日)動かせない
翌1月31日法定調書合計表・給与支払報告書の提出動かせない
社内の回収締切会社が決めるもの動かせる(=ここで調整する)

つまり調整できるのは社内の締切だけです。1月31日から逆算して、12月上旬までに入力を終える必要があります。

状況別の対応

申告書そのものが出てこない

扶養控除等申告書が無い人は、そもそも甲欄で計算できません(乙欄になり税額が高くなります)。年末調整の対象外として処理し、本人に確定申告してもらいます。

不利になるのは本人なので、その旨を伝えると多くは提出されます。「出さないと税金が戻りません」と具体的に伝えるのが効きます。

控除証明書が見つからない

  • 生命保険・地震保険 — 保険会社に再発行を依頼。到着まで1〜2週間かかるため、11月中に判明させる必要があります。
  • 国民年金 — 日本年金機構に再発行を依頼、またはねんきんネットから確認。
  • 小規模企業共済等掛金 — 中小機構や運営管理機関に依頼。
  • 住宅ローンの年末残高証明書 — 金融機関に依頼。

間に合わなければ、その控除だけを外して年末調整し、本人が確定申告で控除を受ける形にできます。全体を止める必要はありません。

前職の源泉徴収票が出てこない

年の途中で入社した人は、前職分を合算しないと年末調整ができません。これが無い場合は年末調整の対象外です。

  • 本人から前職に催促してもらう(交付は法律上の義務です)
  • それでも出ない場合、本人が税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出せます
  • 年内に揃わなければ、本人が確定申告する扱いになります
入社時に回収するのが最善の対策です。 12月になってから探すと、前職とすでに連絡が取りにくくなっています。

配偶者の所得が確定しない

配偶者控除・配偶者特別控除は、配偶者の所得の見積額で判定します。確定していなくても構いません。見積額で年末調整し、実際と大きく違った場合は本人が確定申告で精算します。

締切に出さない人への対応

  1. 締切を明示する — 「11月◯日必着」と日付で伝えます。「今月中」は守られません。
  2. 未提出者に個別に連絡する — 全体メールでは動きません。名指しで伝えます。
  3. 不利益を具体的に伝える — 「年末調整をしないと、還付が受けられず、自分で確定申告することになります」
  4. それでも出なければ対象外にする — 会社に待つ義務はありません。

対象外にした場合でも、源泉徴収票の交付と給与支払報告書の提出は必要です。「年末調整をしていない」という区分で作成します。

退職者を忘れない

年の途中で退職した人は年末調整をしませんが、源泉徴収票の交付(退職後1か月以内)と、1月31日までの給与支払報告書の提出は必要です。1月になってから気づくケースが多いので、退職時に処理しておいてください。

来年に向けて

時期やること
10月下旬申告書を配布(控除証明書が届き始める時期に合わせる)
11月中旬回収締切。未提出者に個別連絡。紛失の再発行はここまで
12月上旬入力・計算。12月給与で精算
入社時前職の源泉徴収票を必ず回収する

全体の手順は経理担当者がいなくても年末調整を終わらせる手順にまとめています。年末調整の税額確定と法定調書の作成は税務書類の作成にあたり、税理士でなければ行えません(税理士法2条・52条)。書類の配布・回収・不備の確認までは誰でも代行できるため、その部分だけ外に出すこともできます。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

年末調整の書類を出さない従業員がいる場合はどうすればいいですか?

全員分が揃うまで待たず、提出済みの人から処理を進めてください。締切までに出さない人は年末調整の対象外とし、本人が確定申告する扱いになります。会社に待つ義務はありません。ただし対象外にした場合も源泉徴収票の交付と給与支払報告書の提出は必要です。

控除証明書が間に合わない場合は年末調整できませんか?

その控除だけを外して年末調整し、本人が確定申告で控除を受ける形にできます。全体を止める必要はありません。保険会社への再発行依頼は到着まで1〜2週間かかるため、11月中に判明させることが重要です。

前職の源泉徴収票が出てこない場合は?

年の途中で入社した人は前職分を合算しないと年末調整ができないため、対象外になります。本人から前職に催促してもらい、それでも出ない場合は本人が税務署に源泉徴収票不交付の届出書を提出できます。入社時に回収しておくのが最善の対策です。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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