青色申告の承認が取り消されるケース
最も多いのは2期連続の期限後申告です。取り消されると欠損金の繰越控除が使えなくなり、影響は加算税よりはるかに大きくなります。取消しはさかのぼって効力が生じ、再申請も1年間できません。
いちばん多いのは「2期連続の期限後申告」です
青色申告の承認が取り消される事由はいくつかありますが、実務で最も多いのは2事業年度連続で期限内に申告書を提出しなかった場合です。ほかに帳簿書類の備付け・記録・保存が適切でない場合、税務署長の指示に従わない場合、隠蔽・仮装があった場合があります。取り消されると欠損金の繰越控除が使えなくなるため、影響は加算税よりはるかに大きくなります。
取り消される主な事由
| 事由 | 内容 | 実務での頻度 |
|---|---|---|
| 2期連続の期限後申告 | 2事業年度続けて、期限内に申告書を出さなかった | 最多 |
| 帳簿書類の不備 | 備付け・記録・保存が財務省令に従っていない | 調査で指摘される |
| 指示に従わない | 帳簿書類について税務署長の指示があったのに従わなかった | まれ |
| 隠蔽・仮装 | 帳簿に取引の全部または一部を隠蔽・仮装して記載した | 重い事案 |
| 調査への非協力 | 帳簿書類の提示を求められて応じない | まれ |
取り消されると何が起きるか
| 失うもの | 影響 |
|---|---|
| 欠損金の繰越控除 | 最も大きい。赤字を翌期以降の黒字と相殺できなくなる。過去の欠損金も使えない |
| 欠損金の繰戻し還付 | 前期に納めた税金の還付を受けられない |
| 各種の特別償却・税額控除 | 中小企業投資促進税制、少額減価償却資産の特例(30万円未満)など |
| 更正の制限 | 青色申告者に認められている、更正時の理由付記などの保護が無くなる |
| 個人の場合 | 青色申告特別控除(最大65万円)、青色事業専従者給与が使えない |
創業期の会社にとって、繰越控除を失うのは致命的です。初期の赤字を将来の黒字と相殺できることを前提に事業計画を立てているなら、取消しは計画そのものを崩します。
取り消されるタイミング
取消しはさかのぼって効力が生じます。事由が生じた事業年度まで戻って青色申告が無かったことになります。つまり、その年度に適用した特別償却や繰越控除も否認されます。
再申請はできるが、時間がかかります
取り消された後、再び青色申告の承認を受けることは可能です。ただし取消しの通知を受けた日から1年以内は申請できません。その間は白色申告になります。
再申請する場合も、承認申請書を「適用したい事業年度開始の日の前日まで」に提出する必要があります。思い立ってすぐ戻せるものではありません。
帳簿書類の要件
「備付け・記録・保存」の3つが求められます。
- 備付け — 必要な帳簿を用意していること(仕訳帳・総勘定元帳など)
- 記録 — 取引を整然と、明瞭に、正確に記録していること
- 保存 — 原則7年(欠損金が生じた事業年度は10年)保存していること
電子で受け取った請求書を電子のまま保存していない場合も、保存要件を満たしていないと評価される可能性があります(電子帳簿保存法の要件を満たす証憑の保存方法)。保存期間は帳簿の保存期間と保存方法にまとめています。
取消しを避けるためにやること
- 申告期限をカレンダーに固定する — 決算日から2か月。3月決算なら5月31日。
- 間に合わないと分かった時点で動く — 申告書が完成していなくても、概算で納付だけ先にすると延滞税が止まります(決算申告の期限に間に合わないときにやること)。
- 1期遅れたら、次は必ず出す — 2期連続を避けることが最優先です。
- 記帳を毎月回す — 間に合わない原因のほとんどは記帳の遅れです。決算月に1年分を入力しようとすると間に合いません。
根本的な対策は記帳の体制です
期限後申告になる会社は、決算作業が遅いのではなく記帳が止まっていることがほとんどです。毎月きちんと締まっていれば、決算月にやるのは決算整理だけで数日で終わります。
社内で毎月回せない場合は、入力を外に出す方法があります。経理1名の実質コストは月およそ29万円ですが、記帳の外注は仕訳件数によってはるかに小さい金額で収まります。仕訳件数から試算できます。
この記事に関するよくある質問
青色申告が取り消される一番多い理由は何ですか?
2事業年度連続で期限内に申告書を提出しなかった場合です。1回遅れただけでは取り消されませんが、2期連続は危険です。1期目が遅れた時点で、次は必ず期限内に出す体制を作ってください。
青色申告が取り消されると何を失いますか?
最も大きいのは欠損金の繰越控除です。赤字を翌期以降の黒字と相殺できなくなり、過去の欠損金も使えません。ほかに欠損金の繰戻し還付、少額減価償却資産の特例(30万円未満)などの特例も使えなくなります。創業期の会社では事業計画そのものが崩れます。
取り消された後、再び青色申告にできますか?
できますが、取消しの通知を受けた日から1年以内は申請できません。その間は白色申告になります。再申請も適用したい事業年度開始の日の前日までに提出する必要があり、思い立ってすぐ戻せるものではありません。