仕組みの解説 ・ 約7分

記帳代行は税理士法違反になるのか

税理士の独占業務は税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つ(税理士法2条1項)。仕訳の入力はどれにも当たらないため無資格でも行えます。違法になる境界と、依頼する側が確認すべきことを条文つきで整理しました。

まず結論

記帳の入力代行そのものは違法ではありません。違法になるのは「判断」に踏み込んだときです

税理士の独占業務は①税務代理 ②税務書類の作成 ③税務相談の3つだけです(税理士法2条1項)。仕訳を入力する行為はこのどれにも当たらないため、無資格者でも報酬を得て行えます。違法になるのは、無資格者が「この支出は経費になりますか」に答える(税務相談)申告書を作る(税務書類の作成)税務署に代わりに出す(税務代理)——この線を越えたときです。

条文で確認する

税理士法2条1項は、税理士業務を次の3つと定めています。

名称内容
1号税務代理税務官公署に対する申告・申請・請求などを、本人に代わって行うこと。税務調査の立会いも含まれる
2号税務書類の作成申告書、申請書、届出書など、税務官公署に提出する書類を作成すること
3号税務相談課税標準等の計算に関する事項について、相談に応じること

そして52条が「税理士でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない」と定めています。報酬の有無を問いません。無償であっても、上記3つを業として行えば違反です。

記帳(仕訳の入力)は、この3つのどこにも書かれていません。 だから無資格者が行っても税理士法違反にはなりません。「記帳代行は違法」という説明を見かけますが、正確ではありません。

できること・できないことの一覧

行為無資格者根拠
領収書・通帳から仕訳を入力するできる税理士業務に含まれない
証憑を整理・保管するできる同上
試算表・月次資料を作成するできる税務署に提出する書類ではない
給与計算をするできる計算そのものは税理士業務ではない
請求書の発行・入金消込できる同上
「この支出は経費になるか」に答えるできない3号(税務相談)
「交際費で処理すべき」と判断を示すできない3号(税務相談)
消費税の課税区分を判断するできない3号(税務相談)
決算書から申告書を作成するできない2号(税務書類の作成)
年末調整の税額を確定する・法定調書を作るできない2号(税務書類の作成)
税務署に申告書を提出するできない1号(税務代理)
税務調査に立ち会うできない1号(税務代理)

実務で線を越えやすい場面

悪意がなくても、次の場面で越えてしまうことがあります。

  • 科目に迷ったとき — 「これ、どの科目にすればいいですか」と聞かれ、代行業者が「交際費です」と答える。これは税務相談です。正しくは「税理士に確認してください」または、判断を保留して仮勘定で置く。
  • 消費税の区分 — 課税・非課税・不課税の判定は、納税額に直結する判断です。
  • 10万円の備品 — 費用にするか資産にするかは税務上の判断です(10万円前後のパソコン・備品)。
  • 「申告まで代行します」という表示 — 無資格の業者がこう書いていれば、その時点で問題があります。

依頼する側が確認すべきこと

頼む側が罰せられることは通常ありませんが、実務上の不利益は依頼者に返ってきます。

確認することなぜ
税理士が関与しているか判断が必要な場面で止まらずに進められる
誰が申告書を作るのか記帳だけの契約なら、決算・申告は別に頼む必要がある
判断が必要なときの流れ誰に確認して、どう決めるのかが決まっているか
「申告まで対応」と書いていないか無資格業者がこう書いていれば、その業者の姿勢を疑うべき

依頼者側の不利益は具体的です。判断を誤った仕訳がそのまま決算に乗り、税務調査で否認される。加算税・延滞税を負担するのは会社です。代行業者は責任を負いません。

名義貸しも禁止されています

税理士法37条の2は、税理士が自分の名義を他人に使わせることを禁じています。実態は無資格の業者が処理し、税理士は名前だけ貸す——という形は違法です。

見分け方として、「税理士監修」とだけ書かれていて、実際に誰が処理しているのか説明が無い場合は確認したほうが安全です。監修と関与は違います。

当サイトの立場

当サイトを運営するASI株式会社は税理士事務所ではなく、税理士業務を行いません。行うのは情報提供と、提携する税理士事務所のご紹介です。記帳の最終確認・税務判断・申告は、提携事務所が自らの責任で行います。この点は利用規約第2条に明記しています。

紹介にあたって提携先から対価を受け取ることも運営者についてで開示しています(景品表示法のステルスマーケティング規制への対応)。

安全に頼むには

最も確実なのは、記帳から決算・申告までを税理士が関与する形で一本化することです。判断が必要な場面で止まらず、責任の所在も明確です。

頼み方の選択肢は依頼のしかたに、任せられる範囲は任せられる範囲にまとめています。費用の目安は仕訳件数から試算できます。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

記帳代行を無資格の業者に頼むと違法ですか?

違法ではありません。税理士の独占業務は税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つで(税理士法2条1項)、仕訳の入力はどれにも含まれません。違法になるのは、無資格者が「この支出は経費になるか」に答える、申告書を作る、税務署に提出するといった行為に踏み込んだ場合です。

代行業者に勘定科目を聞いてはいけないのですか?

無資格の業者が「交際費で処理すべきです」と判断を示すことは税務相談にあたり、税理士法52条に違反します。一般的な情報を伝えることと、その会社の状況に対して判断を示すことは別です。判断が必要な取引は税理士に確認する流れになっているか、依頼前に確認してください。

違法な業者に頼んだ場合、依頼者も罰せられますか?

依頼者が罰せられることは通常ありませんが、実務上の不利益は依頼者に返ってきます。判断を誤った仕訳がそのまま決算に乗り、税務調査で否認されれば、加算税・延滞税を負担するのは会社です。代行業者は責任を負いません。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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