社内で入力してチェックだけ頼む形は得か
入力の質が高ければ最安、低ければ全部任せるより高くつきます。分かれ目は入力者が「迷ったら止まって聞ける」かどうか。入力の質を上げる4つのことと、チェック範囲の決め方をまとめました。
入力の質が高ければ最も安く、低ければ全部任せるより高くつきます
自社で入力してチェックだけ依頼する形は、人件費を社内に残す代わりに外注費を抑える方法です。入力が正確なら最安になります。ただし誤りが多いと確認と修正の時間が増え、結果的に「全部任せる」より高くなることがあります。分かれ目は入力者が「迷ったら止まって聞ける」かどうかです。
この形が成り立つ条件
| 条件 | なぜ必要か |
|---|---|
| 入力する人がいる | 社長本人でも可。ただし本業の時間を使う |
| 基本的な簿記の理解 | 借方・貸方、資産と費用の区別がつく程度 |
| 迷ったら止まる判断力 | ここが最重要。分からないまま進めると、同じ誤りが1年分積み上がる |
| 毎月締める運用 | 溜めると確認が大変になり、追加費用が発生する |
| 残高の照合ができる | 通帳と帳簿が合っている状態で渡せるか |
費用の比較
| 形 | 外注費(月) | 社内工数 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| 自社入力+チェック | 安い | 月10〜20時間 | 入力できる人がいて、時間もある |
| 入力も外注 | 件数に応じる | 月2〜5時間(証憑を送るだけ) | 本業に集中したい |
| 顧問に一本化 | 3〜6万円 | 同上 | 判断で止まりたくない |
社内工数を時間単価で換算してください。月15時間かかっていて、その時間で本業の売上が作れるなら、外注のほうが得です。逆に手が空いている人がいるなら、自社入力が最も安くなります。
入力の質を上げる4つのこと
- 科目の使い方を統一する — 過去の仕訳を見て、同じ支出には同じ科目を使います。迷ったら前例に合わせるのが原則です。
- 摘要を具体的に書く — 「経費」ではなく「◯◯商事 8月分請求」。後から誰が見ても分かる状態にします。
- 迷ったら仮払金・仮受金で置く — 適当な科目に入れず、保留として分かる形にします。チェック側が拾えます。
- 毎月、通帳と残高を合わせてから渡す — 合っていない状態で渡すと、原因探しの時間が加算されます(通帳残高と帳簿が合わないときの原因の探し方)。
チェックしてもらう範囲を決める
| 範囲 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|
| 全件チェック | すべての仕訳を確認 | 高い(入力を任せるのと変わらないことも) |
| 残高と異常値のみ | 試算表の推移、前月比の大きな変動、残高の整合 | 安い。実用上はこれで多くを拾える |
| 保留分+決算整理 | 迷って仮勘定に置いた分と、決算時の整理 | 最も安い |
「残高と異常値のみ」が費用対効果の良い落としどころです。全件を見なくても、月次の推移で不自然な動きは拾えます。
この形の弱点
- 属人化する — 入力できる人が辞めると止まります(経理が1人しかいない会社が休職・退職に備える方法)。
- 誤りが見つかるのが遅れる — 月次チェックが甘いと、決算でまとめて発覚します。
- 入力する人の学習コスト — 最初の1年は迷いが多く、時間がかかります。
- インボイス制度で難易度が上がった — 1件ごとに登録番号と税区分の判定が必要になりました。本則課税の会社では特に負担が増えています。
切り替えの目安
次に当てはまったら、入力も外に出すことを検討してください。
- 入力に月20時間以上かかっている
- 本則課税になった
- 仕訳件数が月300件を超えた
- 入力担当者が1人で、代わりがいない
- 毎月「迷う取引」が10件以上ある
費用は仕訳件数から試算できます。頼み方の選択肢は自社入力+チェックと依頼のしかたにまとめています。
この記事に関するよくある質問
自社で入力してチェックだけ頼むと安くなりますか?
入力が正確なら最も安くなります。ただし誤りが多いと確認と修正の時間が増え、結果的に全部任せるより高くつくことがあります。分かれ目は、入力する人が迷ったときに適当な科目に入れず、止まって聞けるかどうかです。
入力の質を上げるにはどうすればいいですか?
4つです。科目の使い方を過去の仕訳に合わせて統一する、摘要を具体的に書く、迷ったら仮払金・仮受金で置いて保留と分かる形にする、毎月通帳と残高を合わせてから渡す。特に「迷ったら適当な科目に入れる」が最も高くつきます。
チェックはどこまで頼むのが効率的ですか?
「残高と異常値のみ」が費用対効果の良い落としどころです。全件を見なくても、試算表の推移や前月比の大きな変動で不自然な動きは拾えます。全件チェックだと、入力を任せるのと費用が変わらないこともあります。