判断の材料 ・ 約6分

社内で入力してチェックだけ頼む形は得か

入力の質が高ければ最安、低ければ全部任せるより高くつきます。分かれ目は入力者が「迷ったら止まって聞ける」かどうか。入力の質を上げる4つのことと、チェック範囲の決め方をまとめました。

まず結論

入力の質が高ければ最も安く、低ければ全部任せるより高くつきます

自社で入力してチェックだけ依頼する形は、人件費を社内に残す代わりに外注費を抑える方法です。入力が正確なら最安になります。ただし誤りが多いと確認と修正の時間が増え、結果的に「全部任せる」より高くなることがあります。分かれ目は入力者が「迷ったら止まって聞ける」かどうかです。

この形が成り立つ条件

条件なぜ必要か
入力する人がいる社長本人でも可。ただし本業の時間を使う
基本的な簿記の理解借方・貸方、資産と費用の区別がつく程度
迷ったら止まる判断力ここが最重要。分からないまま進めると、同じ誤りが1年分積み上がる
毎月締める運用溜めると確認が大変になり、追加費用が発生する
残高の照合ができる通帳と帳簿が合っている状態で渡せるか

費用の比較

外注費(月)社内工数向いている会社
自社入力+チェック安い月10〜20時間入力できる人がいて、時間もある
入力も外注件数に応じる月2〜5時間(証憑を送るだけ)本業に集中したい
顧問に一本化3〜6万円同上判断で止まりたくない

社内工数を時間単価で換算してください。月15時間かかっていて、その時間で本業の売上が作れるなら、外注のほうが得です。逆に手が空いている人がいるなら、自社入力が最も安くなります。

入力の質を上げる4つのこと

  1. 科目の使い方を統一する — 過去の仕訳を見て、同じ支出には同じ科目を使います。迷ったら前例に合わせるのが原則です。
  2. 摘要を具体的に書く — 「経費」ではなく「◯◯商事 8月分請求」。後から誰が見ても分かる状態にします。
  3. 迷ったら仮払金・仮受金で置く — 適当な科目に入れず、保留として分かる形にします。チェック側が拾えます。
  4. 毎月、通帳と残高を合わせてから渡す — 合っていない状態で渡すと、原因探しの時間が加算されます(通帳残高と帳簿が合わないときの原因の探し方)。
「迷ったら適当な科目に入れておく」が最も高くつきます。 チェック側は、誤りに気づくために全件を見る必要が生じます。保留であることが明示されていれば、そこだけ確認すれば済みます。

チェックしてもらう範囲を決める

範囲内容費用
全件チェックすべての仕訳を確認高い(入力を任せるのと変わらないことも)
残高と異常値のみ試算表の推移、前月比の大きな変動、残高の整合安い。実用上はこれで多くを拾える
保留分+決算整理迷って仮勘定に置いた分と、決算時の整理最も安い

「残高と異常値のみ」が費用対効果の良い落としどころです。全件を見なくても、月次の推移で不自然な動きは拾えます。

この形の弱点

  • 属人化する — 入力できる人が辞めると止まります(経理が1人しかいない会社が休職・退職に備える方法)。
  • 誤りが見つかるのが遅れる — 月次チェックが甘いと、決算でまとめて発覚します。
  • 入力する人の学習コスト — 最初の1年は迷いが多く、時間がかかります。
  • インボイス制度で難易度が上がった — 1件ごとに登録番号と税区分の判定が必要になりました。本則課税の会社では特に負担が増えています。

切り替えの目安

次に当てはまったら、入力も外に出すことを検討してください。

  • 入力に月20時間以上かかっている
  • 本則課税になった
  • 仕訳件数が月300件を超えた
  • 入力担当者が1人で、代わりがいない
  • 毎月「迷う取引」が10件以上ある

費用は仕訳件数から試算できます。頼み方の選択肢は自社入力+チェック依頼のしかたにまとめています。


記帳・経理のご相談。 月間の仕訳件数・お使いの会計ソフト・業種をうかがえば、外注した場合の概算と、雇った場合との比較を無料でお出しします。 無料相談はこちら →
よくある質問

この記事に関するよくある質問

自社で入力してチェックだけ頼むと安くなりますか?

入力が正確なら最も安くなります。ただし誤りが多いと確認と修正の時間が増え、結果的に全部任せるより高くつくことがあります。分かれ目は、入力する人が迷ったときに適当な科目に入れず、止まって聞けるかどうかです。

入力の質を上げるにはどうすればいいですか?

4つです。科目の使い方を過去の仕訳に合わせて統一する、摘要を具体的に書く、迷ったら仮払金・仮受金で置いて保留と分かる形にする、毎月通帳と残高を合わせてから渡す。特に「迷ったら適当な科目に入れる」が最も高くつきます。

チェックはどこまで頼むのが効率的ですか?

「残高と異常値のみ」が費用対効果の良い落としどころです。全件を見なくても、試算表の推移や前月比の大きな変動で不自然な動きは拾えます。全件チェックだと、入力を任せるのと費用が変わらないこともあります。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

月間の仕訳件数・使っている会計ソフト・業種をうかがい、外注した場合の概算と、いま雇っている(雇おうとしている)場合との比較を無料でお出しします。会計ソフトの乗り換えは必要ありません。無理な勧誘はいたしません。