実務の手順 ・ 約6分

補助金・助成金を受け取ったときの経理と圧縮記帳

補助金は受け取った時点で収益になり、そのままだと課税されます。設備の取得に充てたなら圧縮記帳で課税を繰り延べられますが、申告時の手続きが必要で決算後では適用できません。消費税の返還義務にも注意です。

まず結論

補助金は「収入」です。設備に使ったなら圧縮記帳で課税を先送りできます

補助金・助成金は受け取った時点で収益になります。つまりそのままだと課税されます。設備の取得に充てた場合は圧縮記帳を使うことで、その期の課税を繰り延べられます。ただし申告時の手続きが必要で、決算後に気づいても適用できません。もう一つ重要なのは補助金は原則として消費税の対象外(不課税)という点です。

基本の処理

場面処理
交付決定を受けた原則、この時点ではまだ計上しない(確定していれば未収計上)
金額が確定した雑収入(または補助金収入)として計上
入金された未収入金を消し込む
消費税不課税(対価性がないため)
収益に計上する時期は「金額が確定したとき」が原則です。 期末をまたぐ場合、交付決定は受けたが金額が未確定なら翌期、確定していれば当期の収益になります。この判定を誤ると、利益が1年ずれます。

圧縮記帳で課税を繰り延べる

補助金で固定資産を取得した場合、補助金の額だけ資産の帳簿価額を減額(圧縮)することで、その期の課税を避けられます。

圧縮記帳なし圧縮記帳あり
補助金の収益全額が当期の収益全額が当期の収益
圧縮損補助金と同額を損失計上
当期の課税補助金の分だけ課税される相殺されて課税されない
資産の帳簿価額取得価額のまま減額される
その後の減価償却費大きい小さくなる

圧縮記帳は「免税」ではなく「繰り延べ」です。資産の帳簿価額が下がるため、その後の減価償却費が小さくなります。トータルの税額は変わりませんが、補助金を受けた期に一度に課税されるのを避けられる点に価値があります。

圧縮記帳の要件

  • 国庫補助金等に該当すること(すべての補助金が対象ではありません)
  • その補助金で固定資産を取得または改良したこと
  • 返還を要しないことが確定していること
  • 申告書に明細を添付すること
  • 経理処理として、直接減額方式または積立金方式のいずれかを採ること

手続きを忘れると適用できません。決算作業の中で「この補助金は圧縮記帳の対象か」を確認する必要があります。

期をまたぐ場合の特例

補助金を受け取ったが、まだ設備を取得していないという状況があります。この場合、一定の要件のもとで特別勘定を設けて課税を翌期以降に繰り延べる方法があります。

「補助金の入金が3月、設備の納品が4月」といったケースで使えます。これも申告時の手続きが必要です。

消費税の扱い

項目消費税
補助金・助成金の受取不課税(対価性がない)
補助金で購入した資産通常どおり課税仕入れ

補助金は不課税ですが、それで買った資産の消費税は控除できます。ここで注意が必要なのが、仕入税額控除を受けた分について、補助金の返還を求められる場合があるという点です。

多くの補助金では「消費税及び地方消費税の仕入控除税額の報告」が求められ、控除した消費税相当額を返還することになっています。交付要綱を確認してください。

雇用系の助成金

雇用調整助成金やキャリアアップ助成金などは、固定資産の取得に紐づかないため圧縮記帳の対象外です。

  • 受け取った期の収益(雑収入)
  • 対応する人件費は既に費用計上されているため、結果的に相殺されることが多い
  • ただし期をまたぐ場合は、収益と費用がずれることがあります

実務での注意点

  1. 交付決定通知書・確定通知書を保管する — 収益計上の時期の根拠になります
  2. 圧縮記帳の可否を、決算前に確認する — 決算後では手遅れです
  3. 消費税の仕入控除税額の報告義務を確認する — 返還が必要な場合があります
  4. 補助対象経費を区分して記帳する — 実績報告で内訳を求められます
  5. 期をまたぐ場合の処理を決めておく

科目の詳細は補助金・助成金を受け取ったに、決算前の確認事項は決算3か月前にやることにまとめています。

圧縮記帳の適用は税務判断です。無資格の代行業者では判断できないため、税理士が関与する体制が必要です(無資格者ができる経理業務・できない業務)。費用の目安は仕訳件数から試算できます。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

補助金を受け取ったら税金がかかりますか?

かかります。補助金・助成金は受け取った時点で収益になるためです。ただし固定資産の取得に充てた場合は圧縮記帳を使うことで、その期の課税を繰り延べられます。申告書に明細を添付する手続きが必要で、決算後に気づいても適用できません。

圧縮記帳を使うと税金が免除されますか?

免除ではなく繰り延べです。資産の帳簿価額が下がるため、その後の減価償却費が小さくなり、トータルの税額は変わりません。ただし補助金を受けた期に一度に課税されるのを避けられる点に価値があります。

補助金に消費税はかかりますか?

補助金の受取は対価性がないため不課税です。ただし補助金で購入した資産の消費税は控除できます。注意が必要なのは、多くの補助金で「消費税及び地方消費税の仕入控除税額の報告」が求められ、控除した消費税相当額を返還することになっている点です。交付要綱を確認してください。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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