業種別 ・ 約7分

EC・ネットショップの記帳で難しい3つのこと

モール手数料を相殺したまま処理するのが最も多い誤りです。売上は総額で計上し手数料は費用に。注文・出荷・入金の日付がずれるため計上基準を決めて継続する必要があります。FBA等の預け在庫も自社資産です。

まず結論

難所は「モール手数料の相殺」と「売上の計上時期」です

ECの記帳で最も多い誤りは、モールから入金された金額をそのまま売上にしてしまうことです。手数料や広告費が差し引かれた後の金額であり、総額で売上を計上し、手数料は費用として別に計上する必要があります。加えて注文・発送・入金の日付がずれるため、期末の計上時期にも注意が要ります。

1. モール手数料は相殺しない

誤り正しい処理
売上100,000円
手数料15,000円
入金85,000円
売上 85,000円売上 100,000円
支払手数料 15,000円

相殺すると売上高が過少になり、消費税の申告にも影響します。また売上規模が実態より小さく見えるため、融資審査でも不利になります。

各モールは明細をCSVでダウンロードできます。 売上・手数料・広告費・返品・ポイント負担などが内訳で出るので、それを元に総額で計上してください。入金額だけを見て記帳すると必ず誤ります。

2. 売上の計上時期

ECでは、注文・決済・発送・入金の日付がすべて違います。どの時点で売上を計上するかを決めて、継続してください。

時点考え方
注文日まだ引き渡していないため、通常は売上にしない
出荷日出荷基準。実務で多く採用される
到着日引渡基準。追跡データが必要
入金日現金主義になり、原則として認められない

期末をまたぐ注文が最も問題になります。3月31日に出荷して4月2日に到着、入金は5月——この売上をどの期に入れるか。基準を決めていないと、税務調査で指摘されます(税務調査で指摘されやすい10の論点)。

3. 在庫の管理

物販である以上、期末在庫の計上は必須です。

  • 自社倉庫の在庫 — 実地棚卸を行い、棚卸表を作成します。
  • FBA等の預け在庫 — 他社の倉庫にあっても自社の資産です。管理画面から在庫数を出力します。
  • 未着品 — 仕入れたが到着していないもの。所有権の移転時期によります。
  • 返品された在庫 — 再販できるものと廃棄するものを分けます。

棚卸を省くと、原価が過大になり利益が過少になります。税務調査で必ず確認される項目です。

4. 返品・キャンセル・ポイント

事象処理
返品売上のマイナス(売上返品)。在庫を戻す
キャンセル売上計上前なら処理不要。計上後ならマイナス
モールのポイント負担販売促進費または売上値引。モールの明細で区分を確認
クーポン値引売上値引
送料(顧客負担)売上に含める。実際の配送料は費用
送料無料分荷造運賃として費用

5. 消費税の論点

  • モール手数料 — 課税仕入れ。ただし海外事業者への支払は扱いが異なる場合があります。
  • 越境EC(輸出) — 輸出免税の適用には証明書類の保存が必要です。
  • 海外からの仕入 — 輸入消費税の処理。
  • 広告費 — 国内事業者なら課税仕入れ。海外の広告サービスへの支払は個別に判定が必要です。

効率化の順番

  1. 各モールの明細CSVを毎月ダウンロードする — これが記帳の元データです。
  2. 会計ソフトの連携機能を使う — 主要モールに対応しているサービスがあります。
  3. 決済会社ごとに売掛金の補助を分ける — 入金の消込が追えます。
  4. 在庫管理システムと会計を分ける — 在庫は専用システム、会計には月末残高だけ渡す形が現実的です。

件数が多い業種です

1注文=1仕訳とすると、月1,000件を超えることも珍しくありません。ただし1件ずつ入力する必要はなく、日次または月次で集計して計上するのが実務です。明細は別途保存しておけば、集計仕訳で問題ありません。

この集計の設計ができるかどうかで、記帳の負担が10倍変わります。外注する場合はECの対応経験とモール明細の処理方法を必ず確認してください。選び方は記帳代行業者の選び方、費用は仕訳件数から試算できます。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

モールからの入金額をそのまま売上にしていいですか?

いけません。手数料や広告費が差し引かれた後の金額なので、総額で売上を計上し、手数料は支払手数料として別に計上します。相殺すると売上高が過少になり、消費税の申告や融資審査にも影響します。各モールの明細CSVを元に処理してください。

ECの売上はいつ計上しますか?

出荷日を基準とするのが実務で多く採用されています。注文日はまだ引き渡していないため通常は計上せず、入金日基準は現金主義になり原則として認められません。期末をまたぐ注文が問題になるため、基準を決めて継続してください。

FBAなど他社倉庫にある在庫も計上が必要ですか?

必要です。他社の倉庫にあっても自社の資産なので、期末在庫として計上します。管理画面から在庫数を出力してください。棚卸を省くと原価が過大になり利益が過少になるため、税務調査で必ず確認される項目です。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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