個人事業主が青色65万円控除を取る条件
要件は複式簿記・貸借対照表の添付・期限内申告・e-Tax提出の4つ。最も落としやすいのが期限内申告で、1日遅れると55万円分を失います。他の3つは会計ソフトを使えば自動的に満たせます。
条件は4つ。うち1つでも欠けると10万円まで下がります
65万円控除の要件は①複式簿記で記帳 ②貸借対照表を添付 ③期限内に申告 ④e-Taxで提出(または電子帳簿保存)の4つです。③の期限内申告が最も落としやすく、1日遅れるだけで55万円分を失います。④を満たさない場合は55万円控除になります。
控除額の3段階
| 控除額 | 要件 |
|---|---|
| 65万円 | 複式簿記+貸借対照表の添付+期限内申告+e-Taxによる提出または優良な電子帳簿の保存 |
| 55万円 | 複式簿記+貸借対照表の添付+期限内申告(紙で提出) |
| 10万円 | 上記を満たさない場合(簡易簿記、期限後申告など) |
要件1:複式簿記
単式(お金の出入りだけ)ではなく、借方・貸方で記録する複式簿記が必要です。
- 会計ソフトを使えば、意識しなくても複式簿記になります
- Excelの出納帳だけでは要件を満たしません
- 仕訳帳と総勘定元帳が作成されている状態が必要です
要件2:貸借対照表の添付
青色申告決算書の4ページ目(貸借対照表)を記入して提出します。
- 損益計算書だけでは要件を満たしません
- 会計ソフトなら自動で作成されます
- 期首と期末の残高が正しく入っていることが前提です
要件3:期限内申告(最も落としやすい)
3月15日(休日なら翌開庁日)までに提出することが要件です。1日でも遅れると10万円控除になります。
ここだけは記帳の質と関係なく、間に合わせるかどうかだけの問題です。間に合わない場合の動き方は確定申告の直前に記帳が終わっていないときの立て直しにまとめています。
要件4:e-Taxまたは電子帳簿保存
| 方法 | 必要なもの |
|---|---|
| e-Taxで提出 | マイナンバーカード+カードリーダーまたはスマホ、あるいはID・パスワード方式 |
| 優良な電子帳簿の保存 | 一定の要件を満たす電子帳簿と、事前の届出 |
実務ではe-Taxのほうが簡単です。電子帳簿保存は要件が細かく、事前の届出も必要です。会計ソフトの多くはe-Tax送信に対応しているため、そこから提出すれば要件を満たせます。
そもそも青色申告の承認が必要です
65万円控除の前提として、青色申告の承認を受けていることが必要です。
- 新規開業 — 開業日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を提出
- 既に事業をしている — 適用したい年の3月15日までに提出
- 事後の申請はできません
また、承認は取り消されることがあります。2年連続で期限内申告をしないなどが理由です(青色申告の承認が取り消されるケース)。
青色申告のその他の特典
- 青色事業専従者給与 — 家族への給与を全額必要経費にできる(事前の届出が必要)
- 純損失の繰越控除 — 赤字を3年間繰り越せる
- 少額減価償却資産の特例 — 30万円未満の資産を一括で経費にできる(年間300万円まで)
- 貸倒引当金 — 一定額を経費にできる
控除額だけでなく、これらの特典を合わせると差はさらに大きくなります。
不動産所得の場合の注意
不動産所得で65万円(または55万円)控除を受けるには、事業的規模であることが要件です。判定の目安として、アパート等は10室以上、独立家屋は5棟以上という基準(5棟10室基準)が使われます。これに満たない場合は10万円控除です。
要件を毎年満たすには
4つの要件のうち、①複式簿記 ②貸借対照表 ④e-Tax は会計ソフトを使えば自動的に満たせます。残る③期限内申告だけが、毎年の運用の問題です。
記帳が年1回まとめてになっている限り、期限に間に合うかは毎年賭けになります。月次で回る体制にすれば、3月は決算整理だけで済みます。入力を外に出す場合の費用は仕訳件数から試算できます。個人事業主向けの全体像は個人事業主・フリーランスの記帳と確定申告に。
この記事に関するよくある質問
青色申告の65万円控除の条件は何ですか?
4つです。複式簿記で記帳すること、貸借対照表を添付すること、期限内(3月15日まで)に申告すること、e-Taxで提出すること(または優良な電子帳簿の保存)。e-Taxを使わず紙で提出した場合は55万円控除になります。
1日でも遅れるとどうなりますか?
10万円控除まで下がります。65万円との差は55万円で、所得税だけでなく住民税や国民健康保険料にも影響するため、実際の負担差は所得によって十数万円になることもあります。要件のうち3つは日々の記帳で満たせるので、落とすとしたら期限内申告だけです。
不動産所得でも65万円控除は受けられますか?
事業的規模であることが要件です。判定の目安として、アパート等は10室以上、独立家屋は5棟以上という基準(5棟10室基準)が使われます。これに満たない場合は10万円控除になります。