実務の手順 ・ 約6分

領収書をなくしたときの処理

領収書は支払を証明する手段の一つで、それしか認められないわけではありません。再発行を頼む・他の証憑で代替する・出金伝票を作るの順で対応します。ただし消費税の仕入税額控除は要件が別で、法人税と扱いが異なる点に注意が必要です。

まず結論

領収書が無くても、支払った事実を示せれば経費にできます

領収書は支払を証明する手段の一つであって、それしか認められないわけではありません。実務では①再発行を頼む ②他の証憑で代替する ③出金伝票を作るの順で対応します。ただし消費税の仕入税額控除は要件が別で、インボイス制度のもとでは適格請求書が無いと控除できない取引があります。ここが法人税との大きな違いです。

ステップ1:再発行できないか確認する

最も確実な方法です。多くの取引先は対応してくれます。

  • 店舗・取引先 — 「再発行」または「支払証明書」を依頼します。取引の記録が残っていれば発行してもらえることが多いです。
  • クレジットカード払い — カード会社のWebから利用明細をダウンロードできます。多くは過去12〜15か月分。
  • ネット通販 — 購入履歴から領収書を再表示・再ダウンロードできるサービスがほとんどです。
  • 交通機関 — ICカードの利用履歴を券売機や公式アプリで取得できます。
「領収書は再発行できません」と言われた場合でも、支払証明書やレシートの控えなら出してもらえることがあります。 名称にこだわらず、「支払った事実が分かる書類がほしい」と伝えてください。

ステップ2:他の証憑で代替する

領収書そのものが無くても、次の書類が支払の裏付けになります。

代わりになるもの何を示せるか
請求書+通帳の記録請求内容と、実際に支払ったこと。組み合わせれば領収書とほぼ同等
クレジットカードの利用明細支払先・金額・日付
銀行の振込控え振込先・金額・日付
納品書・契約書取引の内容と金額
メールの注文確認取引の実在と内容
レシート領収書と同等に扱われます(宛名が無くても、少額なら実務上問題になりにくい)

ステップ3:出金伝票を作る

どうしても書類が無い場合は、自社で出金伝票を作成します。記載するのは次の5項目です。

  1. 日付 — いつ支払ったか
  2. 支払先 — どこに支払ったか(店名・会社名)
  3. 金額
  4. 内容 — 何のための支出か。ここを具体的に書くことが最も重要です
  5. 目的・相手 — 接待や交通費なら、誰と会ったか・どこへ行ったか

典型的なのは、香典・見舞金(香典・お祝い金・見舞金)、自動販売機での購入、公共交通機関の運賃、割り勘の飲食代です。これらは領収書が出ないことが前提なので、出金伝票が正規の処理になります。

出金伝票は「何にでも使える万能の書類」ではありません。 高額な支出や、本来なら領収書が出るはずの取引で多用すると、実在性を疑われます。あくまで補完的な手段です。

消費税は扱いが違います

ここが最も誤解されやすい点です。法人税(所得税)で経費にできることと、消費税で仕入税額控除ができることは別です。

状況法人税・所得税消費税の仕入税額控除
領収書はないが支払は事実経費にできる原則できない(適格請求書が必要)
3万円未満の公共交通機関経費にできる帳簿の記載のみで控除可(特例)
自動販売機での購入(3万円未満)経費にできる帳簿の記載のみで控除可(特例)
免税事業者からの仕入経費にできる経過措置の割合による

インボイス制度の詳細はインボイス制度にまとめています。「経費にはできるが消費税は引けない」というケースがあることを、処理の時点で区別してください。

保存についての注意

  • 保存期間は原則7年(欠損金が生じた事業年度は10年)。領収書も帳簿と同じ扱いです。
  • 電子取引で受け取ったものは、電子のまま保存が必要です。メールで届いたPDFの領収書を紙に印刷して保存するだけでは要件を満たしません(電子帳簿保存法)。
  • 感熱紙のレシートは消えます。時間が経つと文字が読めなくなるため、スキャンまたは撮影して保存しておくと安全です。

紛失を繰り返さない仕組み

領収書の紛失は、たいてい「もらってから経理に渡すまで」に起きます。仕組みで防げます。

  • 受け取ったその場でスマートフォンで撮影する
  • 月ごとの封筒や箱を用意し、帰社したら必ずそこに入れる
  • 経費精算の締日を決め、それを過ぎたものは翌月扱いにする(後回しを許さない)
  • 会計ソフトのスマホアプリで、撮影と同時に取引を登録する

証憑の集め方全体は無料テンプレートの証憑整理シートにまとめてあります。登録不要でダウンロードできます。


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よくある質問

この記事に関するよくある質問

領収書がないと経費にできませんか?

支払った事実を示せれば経費にできます。請求書と通帳の記録の組み合わせ、クレジットカードの利用明細、銀行の振込控え、納品書、メールの注文確認などが裏付けになります。どうしても無い場合は出金伝票を作成します。

出金伝票には何を書けばいいですか?

日付・支払先・金額・内容・目的や相手の5項目です。特に内容を具体的に書くことが重要です。香典や見舞金、自動販売機での購入、公共交通機関の運賃、割り勘の飲食代など、領収書が出ない取引では出金伝票が正規の処理になります。

領収書がなくても消費税は控除できますか?

法人税で経費にできることと、消費税で仕入税額控除ができることは別です。インボイス制度のもとでは原則として適格請求書の保存が必要で、無い場合は控除できません。ただし3万円未満の公共交通機関や自動販売機での購入は、帳簿の記載のみで控除できる特例があります。

経理を採用する前に、いくらで回るか確かめてください。

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