名義貸し(税理士法37条の2)とは何か
「税理士監修」と書いてあるだけでは関与の証拠になりません。名義貸しにあたる形と適法な形の違い、依頼する側の見分け方、そして紹介ビジネスが名義貸しではない理由を条文つきで整理しました。
「税理士監修」と書いてあるだけでは、税理士が関与している証拠になりません
税理士法37条の2は、税理士が自分の名義を他人に使わせることを禁じています。実態は無資格の業者が処理し、税理士は名前だけ——という形は違法です。依頼する側が見るべきなのは「監修」の表示ではなく、判断が必要な場面で誰が決めるのかという運用です。ここが説明できない相手は避けてください。
条文
税理士法37条の2は「税理士は、第五十二条又は第五十三条第一項若しくは第二項の規定に違反する者に自己の名義を利用させてはならない」と定めています。52条は無資格者による税理士業務を禁じた条文です。
つまり「無資格者が税理士業務をするのを、名義を貸して手助けしてはならない」という規定です。名義を貸した税理士は懲戒処分の対象になり、業務停止や登録抹消もあり得ます。
どういう形が名義貸しにあたるか
| 形態 | 評価 |
|---|---|
| 無資格の業者が申告書を作り、税理士が中身を見ずに署名する | 名義貸し |
| 業者が税務相談に答え、税理士は名前だけ掲載されている | 名義貸し |
| 税理士の登録番号だけ借りて、業者が電子申告する | 名義貸し |
| 業者が記帳を行い、税理士が内容を確認して申告書を作成・署名する | 適法 |
| 税理士事務所の補助者(無資格)が入力し、税理士が確認・判断する | 適法(通常の事務所運営) |
依頼する側の見分け方
外からは分かりにくいため、次を確認してください。
- 誰が申告書に署名するか — 税理士の氏名と登録番号が入るか。入らないなら、その業者は申告書を作れません。
- 判断が必要なときの流れ — 「科目に迷ったらどうなりますか」と聞いてみてください。「弊社で判断します」と答える無資格業者は危険です。「税理士に確認します」が正しい答えです。
- 税理士と直接話せるか — 契約後に一度も税理士と話さない形は、関与が薄い可能性があります。
- 「監修」の中身 — 何を監修しているのか。サイトの記事なのか、個別の申告なのか。言葉の意味が違います。
紹介ビジネスは名義貸しではありません
混同されやすい点なので整理します。
| 形態 | 適法か | 理由 |
|---|---|---|
| 税理士を紹介して手数料を得る | 適法 | 紹介は税理士業務ではない。税理士法にも税理士会の会則にも禁止規定はない |
| 紹介した会社の税務処理を、紹介者が行う | 違法 | 52条違反。紹介と実務は別 |
| 紹介者が税理士の名前で申告する | 違法 | 37条の2(名義貸し)と52条 |
税理士紹介サービスは多数存在し、成功報酬を取っています。これ自体は問題ありません。紹介した後に誰が業務を行うかが分かれ目です。
当サイトの構造
当サイトを運営するASI株式会社は税理士事務所ではなく、税理士業務を一切行いません。行うのは情報提供と、提携する税理士事務所のご紹介です。記帳の最終確認・税務判断・申告は、提携事務所が自らの責任で行います。
この線引きは利用規約第2条に明記し、紹介にあたって対価を受け取ることも運営者についてで開示しています。構造を隠さないことが、この規定への一番の対応です。
あわせて確認したい
そもそも何が税理士の独占業務なのかは記帳代行は税理士法違反になるのか、無資格でできる業務の一覧は無資格者ができる経理業務・できない業務にまとめています。
この記事に関するよくある質問
「税理士監修」と書いてあれば安心ですか?
監修の表示だけでは、税理士が個別の申告に関与している証拠になりません。確認すべきは、申告書に税理士の氏名と登録番号が入るか、判断が必要なときに誰が決めるかです。「弊社で判断します」と答える無資格業者は避けてください。
税理士事務所で無資格の職員が入力するのは違法ですか?
違法ではありません。税理士が内容を確認し判断していれば、通常の事務所運営です。問題になるのは、税理士が実際には関与していないのに関与しているように見せる形です。境目は「税理士が実際に確認し判断しているか」です。
税理士を紹介して手数料を得るのは名義貸しですか?
違います。紹介は税理士業務ではないため、手数料を得ても問題ありません。違法になるのは、紹介した後にその会社の税務処理を紹介者自身が行った場合や、税理士の名前で申告した場合です。紹介と実務は別です。